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世界で1億8000万人以上が飲料水を得られていない現状 ユニセフが警笛

世界で1億8000万人以上が飲料水を得られていない現状 ユニセフが警笛

ユニセフ(国連児童基金)は、世界水週間(8月27日~9月1日)の半ばにあたる8月29日、紛争や暴力、政情不安の影響を受ける国々で1億8000万人以上が基本的な飲料水が得られていないと警鐘を鳴らした。

ユニセフとWHO(世界保健機関)が先月発表した共同監査プログラム(JMP)報告書(*)によると、紛争によって避難生活を強いられるなど不安定な状況下に暮らす人々は、そうではない人々と比べて基本的な飲料水が不足する割合が4倍に上るという。2015年に不安定な状況下に暮らしていた人口は推定4億8400万人であることから、1億8300万人が基本的な飲料水が不足する環境下で生活をしていたということになる。

紛争による被害~日常的な水と衛生サービスからの断絶

ユニセフによると、イエメン、シリア、ナイジェリア、スーダンといった国では数年にわたる紛争の影響で、水道網や衛生施設、給水所などが破壊され、修理もできないまま水のサービスから切り離されているという。例えば、紛争が7年目に突入したシリアでは、推定640万人の子どもを含む、約1500万人が安全な水を得ることが難しい状況下に置かれており、3年以上紛争が続く南スーダンでは国内の給水所の約半数が損傷または完全に破壊されたという。

これらの状況に対し、ユニセフ水と衛生部門部長のサンジャイ・ウィジェセケラ氏は「子どもたちが安全な飲み水を得られず、保健システムが荒廃したならば、栄養不良やコレラなど死に至る可能性のある病気の蔓延が必然的に続く」と訴える。実際イエメンでは、これまでに報告された50万件以上のコレラおよび急性水様性下痢が疑われる症例のうち、53%以上を子どもが占めていたという。またソマリアでは、過去5年間で最大規模のコレラの流行に見舞われており、7万7000件近くのコレラおよび急性水様性下痢が疑われる症例が報告されている。同氏は「特に紛争や緊急時において、子どもたちが生き延びるために最も必要な基本物資である水が最優先されるべきだ」と述べている。

*『衛生施設と飲料水の前進:2017年最新データと持続可能な開発目標(SDGs)基準(原題:Progress on Drinking Water, Sanitation and Hygiene: 2017 Update and Sustainable Development Goal Baselines)』

(写真はイメージ)

 
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