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恐竜時代を終わらせたのは、小惑星の衝突位置のわずかな違いだった

恐竜時代を終わらせたのは、小惑星の衝突位置のわずかな違いだった

東北大学の海保邦夫教授らは、恐竜などの絶滅を引き起こした小惑星が衝突した場所が少しずれていたら大量絶滅が起こらず、今に至るまで恐竜が生存していた可能性があることを示した。9日付で、英オンライン科学誌『サイエンティフィック・リポーツ」に掲載された。

大きな小惑星が地球に衝突すれば、多くの生物が絶滅すると一般に考えられている。実際、6600万年前の白亜紀末に直径10km程度の小惑星が地球に衝突。これにより恐竜など75%以上の動物のしゅが絶滅した。小惑星が衝突した際に有機物が燃えてできた大量の「すす」が成層圏にとどまり、気候変動を引き起こしたのが原因と見られている。

しかし今回の研究で、直径10km程度の小惑星が衝突しても、それによってどのような反応が起こるのかは場所によって大きく異なり、衝突する場所の有機物の量によっては気温低下がほとんど起きない場合もあり、一方で地球全体の月平均気温が8~11度程度低下する場合もあることがわかった。

また、当時の堆積岩中の有機物の量は場所によって3桁も異なり、多い場所は海の縁辺域の狭い領域に限られることが突き止められた。このため、小惑星が地球に衝突しても大量絶滅が起きる確率は低く、地球表面の13%の範囲(図のオレンジ色の部分)に衝突した場合にだけ大量絶滅が起こると結論づけられた。

6600万年前の小惑星は、現在のメキシコのユカタン半島に衝突した。わずかにずれた位置に衝突していたら生命史が大きく変わり、私たち人類はいなかったのかもしれない。

画像提供:東北大学