死海文書、未解読だった最後の2つの巻物のうちの1つを解読

死海文書を解読 364日カレンダーにワインやオイルの収穫祭

イスラエルのハイファ大学聖書学科のエシュバール・ラトソン博士とヨナタン・ベン=ドーヴ教授は22日、「死海文書」として知られるクムラン洞窟で発見された約900の巻物のうち、未公開だった最後の2つの巻物の1つを解読、復元に成功したと発表した。1年以上かけて暗号化された60個以上の小さな断片をつなぎ合わせて再構成したところ、この地域の宗派のメンバーが使用したユニークなカレンダーと、四季の変わり目を示す日につけた名前を発見したという。

 

クムラン教団のカレンダーは1年364日

1947~56年に死海の北西にあるクムラン洞窟で発見された「死海文書」の巻物のほとんどは復元され、出版されてきた。これまで、1cmにも満たない未解読の小さな羊皮紙に書かれた60個ほどの断片を調べてきた研究者は、60個の中には複数の巻物に由来するものが混ざっていると主張していた。しかし、今回これらの断片が単一の巻物を構成すると示された。ラトソン博士らは現在、未解読である最後の1つの巻物の解読に着手しているという。

今回の解読で重要な点は、クムラン教団のメンバーが1年を364日とするカレンダーに従っていたという事実だ。このカレンダーは、第二神殿時代(紀元前516年から70年まで)の後期に行われた最も激しい論争の1つに関わっている。

「ユダヤ教で用いられている太陰暦は、多くの人間の決定を必要とする。人々は星と月を見て観測しなければならず、誰かが新月とうるう年の適用を決定する権限を持たなければならない。対照的に、364日のカレンダーは完璧だった。この数字は4と7で割り切れるので、特別な行事は常に同じ日になる」と両者は説明している。

 

季節の変わり目は特別な日「テクファー」

また、この巻物は教団のカレンダーで最も重要な日付についても詳述している。巻物には、クムランの他の巻物からすでに知られている2つの特別な行事「新しいワインの祭り」と「新しい油の祭り」を記している。これらの日付は、今日、知られている五旬節の祭り(新しい小麦の収穫を祝う祭り)の延長を構成するもの。このカレンダーによると、新しい小麦の祭りは過越祭の50日後で、新しいワインの祭りはその50日後、新しい油の祭りが祝われるのはさらに50日後となる。

クムラン教団のメンバーが季節の変わり目を祝い、四季の変化のそれぞれに特別な日を加えたことは他の巻物から知られていたが、今までこれらの特別な日の名前は明らかになっていなかった。今回、これらの日がTekufah(テクファー)という言葉によって参照されたとしている。現在のヘブライ語では、Tekufahは「期間」という意味。「この言葉は、後のラビの文学やタルムード時代のモザイクからは馴染み深いものであり、巻物でこの意味でも使われることを前提としていたかもしれないが、これが初めて明らかになった」とラトソン博士とベン=ドーヴ教授は説明した。

画像提供:ハイファ大学