7年目の311 大震災の教訓はどれだけ生かされているのか?

7年目の311 大震災の教訓はどれだけ生かされているのか?

東日本大震災から7年。その後も2016年に熊本大地震など日本各地で自然災害は起きているが、震災の記憶の風化や防災意識の薄れを懸念する声を聞くこともある。
 

被災経験有無により防災意識に大きな差

花王「生活者研究センター」が6日、家庭での防災対策に関するインターネット調査結果を発表した。これによると、被災経験の有無によって家庭での防災対策の実施率に差があることや、被災経験者が日頃から取り組んでいる防災対策が明らかになった。

調査対象1万2901人のうち、台風、豪雨、地震、噴火などの自然災害による「被災経験がある」と回答したのは3002人(23%)。家庭での「防災対策」の実施状況についての質問では、被災経験者で防災対策をしている人の実施率は56%と半数以上だった。一方、被災経験のない人の場合は35%にとどまり、実施率の差が20%以上と大きな差が見られた。

自然災害による被災経験者が家庭で行っている防災対策の中で最も多かったのが「非常食・食料品の備蓄」で82%、次いで「飲料水の備蓄」が79%と、備蓄関連が上位を占めた。そのほかには「防災訓練への参加」が16%など、13種類の様々な防災対策が挙がった。

また、同調査では全国的に被災経験のある人々と、その中でも近年大きな震災を経験した東北3県(岩手、宮城、福島)および熊本県に住む人々、そして被災経験のない人々とを防災対策の実施率において比較。「家具などの転倒・落下防止策」では被災なしの全国平均が42%で、被災ありの全国平均が47%だった一方で、これが東北3県だけになると59%、熊本では52%だった。「寝室に懐中電灯や靴などを用意する」では被災なしが35%で被災ありの全国平均が44%、東北3県は54%、熊本は49%、「家族間の連絡方法を確認する」では被災なしが34%、被災ありの全国平均が41%、東北3県が49%、熊本が48%と、被災経験の有無で大きな差があった。また「風呂水のためおき」は被災なしの全国平均が20%のところ、東北3県では40%の人が引き続き実施しており、災害経験に基づく防災対策への意識の違いが明らかになった。
 

防災への意識を持ち続けるために

日本赤十字社(東京都港区)は1日から、日頃から防災・減災意識を持つことの重要性を伝えることを目的としたショートムービー「3月11日を考えるから、365日考えるへ」を公開している。この動画を通じて、東日本大震災のことに想いを寄せるだけでなく、これから起こりうる災害への備えについて、日頃から考えることの大切さを伝えていくことを目指している。

7年目となる、今年の「311」。震災の記憶を風化させることなく、災害で得た教訓や経験を生かして、次の1年へと向かう節目の日となるか。