琉球大、日本絶滅のカワウソを対馬で撮影

対馬のカワウソ、少なくとも3個体が生息 韓国から漂着か

環境省は5月28日、昨年、国内で38年ぶりに長崎県対馬において生息が確認された野生のカワウソについて、ユーラシアカワウソのオス2個体、メス1個体が少なくとも生息している可能性があると発表した。このカワウソは、韓国から対馬に流れ着いた可能性があると考えられる。

2017年8月17日、2月に琉球大学がツシマヤマネコ撮影用に設置していた自動撮影カメラにカワウソが映っていたと発表した。環境省も同年7月と8月に対馬の調査を実施、カワウソのフンからユーラシアカワウソのDNAを発見したと10月に発表した。

その後の継続調査で、計10個のフンからオス2個体、メス1個体のDNAを識別した。オス1個体とメス1個体は遺伝子型が類似しており、親子・兄弟姉妹のような関係か、遺伝子の多様性がかなり失われた隔離された同一個体群出身である可能性が高いものと考えられる。

対馬では、かつてカワウソが確認されたという記録はあるが標本などが残っておらず、分類学的な位置づけは明らかになっていない。

今回確認されたカワウソは、対馬と韓国の直線距離が最短で約50kmと短いこと、また韓国から対馬に向けた海流が流れていること、韓国でカワウソの生息数が増加傾向にあることなどから、韓国に生息するユーラシアカワウソが海流に乗って偶発的に対馬に流れ着いた可能性があると考えられる。

同省は、今後も続けて生息状況の把握を行うとともに、カワウソの生息と生息環境維持のための普及啓発を行っていく方針。

画像提供:琉球大学
 

参考記事
対馬のカワウソは韓国・サハリン生息のものと近縁(2017/10/17)