月面に凍った水の存在を確認、重要な資源として期待

月面に凍った水の存在を確認 米ハワイ大学

米ハワイ大学の博士研究員シュワイ・リー氏らは、月の極地の表面に凍った水が存在している決定的な証拠を発見した。月の南極の氷の大半はクレーターに集中している一方、北極の氷はより広く、まばらに存在しているという。これらは、将来的な資源として有用と見られている。米国科学アカデミー紀要(PNAS)に20日付で掲載された。

冒頭の画像は、2008年にインド宇宙研究機構が打ち上げた月探査機「チャンドラヤーン1号」に搭載された、米航空宇宙局(NASA)の月面鉱物マッピング装置(M3)のデータを用いて検出された、月の南極(左)と北極(右)の表面氷の分布を示している。月面の画像上に示された水色は氷の位置を表し、表面温度に応じてより寒い領域を黒く描いている。この画像から、氷はクレーターの影の中で最も暗くて寒い場所に集中していることがわかる。これらの影は永久影と呼ばれ、月の回転軸の傾きが非常に小さいために太陽光は一切届かず、摂氏-157度を超えることがないという。

これまでの観測でも、月の南極には表面氷の兆候が間接的に見つかっていたが、「異常に反射する月の土壌」といった他の現象で説明できる可能性があり、氷であることを証明する決定打となっていなかった。

月の表面に十分な量の氷があるのなら、たとえそれが数ミリメートルだとしても、将来的に地球からの探索のための遠征や、さらには宇宙飛行士が月に滞在するための資源として活用できる可能性があると期待される。これらの氷がどのようなプロセスで生成し、月の環境とどのように相互作用するのかについては、今後も重要な研究テーマとして解明が求められる。

画像提供:NASA