最終氷期の気温上昇から、温暖化の地球規模の変化を予測

温暖化による生態系変化 植物の化石のデータから予測

京都府立大学と千葉大学は、最終氷期から完新世の植生変化などを調べることで、将来予想される気候温暖化が地球全体に及ぼす影響を明らかにした。温室効果ガス排出量推移予想シナリオによる気温上昇は、地球規模で植生景観や植生の構成種、生物多様性に大きな変化を及ぼすと予想される。この研究結果は、8月31日に『サイエンス』に掲載された。

最終氷期の終末期(約2万1000~1万4000年前)以降に4~6度の気温上昇があったとされ、これは今後100~150年間に予想される地球温暖化と同規模だ。そのため、最終氷期に起こった植生変化をもとに、今後の生態系の変化を予測した。

研究では、世界各地の植物化石に基づいて復元された最終氷期の植生と、現在ないし人為改変前の植生とを比較した。まず、植生の組成と構造(植生景観や木の密度等)の変化の程度を3段階の規模に分類し、最終氷期以降の気候データと比較。その後、気温変化と植生変化の程度との関係を調べた。

その結果、最終氷期の後の気温上昇の程度と植物の組成や構造の変化の程度の関係が明らかになった。さらに、この結果を、将来の温室効果ガス排出量推移予想シナリオによる気温上昇に当てはめると、世界各地の植生が大規模に変化する確率も分かった。温室効果ガス排出量推移予想シナリオによる気温上昇は過去の気温上昇速度より速いため、生物種の移動速度が追い付かず、生物多様性に大きな影響があると予想される。

(写真はイメージ)