• HOME
  • 社会・経済
  • IUCNレッドリスト更新、ナガスクジラとマウンテンゴリラが回復傾向に
IUCNレッドリスト更新、ナガスクジラとマウンテンゴリラが回復傾向に

IUCNレッドリスト更新、ナガスクジラとマウンテンゴリラが回復傾向に

国際自然保護連合(IUCN)は14日、絶滅の恐れのある生物を記載するレッドリストの最新の更新内容を発表した。ナガスクジラが「危機(EN)」から「危急(VU)」へ、マウンテンゴリラが「CR(近絶滅種)」から「EN(絶滅危惧種)」へ、それぞれ保全状況が改善された。一方、IUCNレッドリストには、現在9万6951種が掲載されており、そのうち2万6840種が絶滅危惧の状態で、前回より643種増えて過去最多を記録した。

ナガスクジラは、世界全体での個体数が1970年代からほぼ倍増。これは、北太平洋と南半球で1976年以降実施されている商業捕鯨の国際的禁止と、1990年以降の北大西洋での捕獲数の大規模な削減によるものと見られる。コククジラの西部太平洋での保全状況も「深刻な危機(CR)」から「危機(EN)」へと改善された。

マウンテンゴリラは、コンゴ民主共和国、ルワンダ、ウガンダなど中部および東アフリカに生息。2008年のIUCNレッドリスト評価結果では約690個体と推定され、その後に実施されてきた罠の除去などの密猟対策パトロール、生息域内での獣医学的介入などの集中的な保全行動が個体数増加に寄与してきたという。今回の推定では1000個体以上に増加し、記録上個体数は最多となった。しかし、密猟や、繰り返し起こる政情不安、人間由来の病気(呼吸器感染からエボラ出血熱まで)など脅威は大きい状況にあるという。

IUCN事務局長のインガー・アンダーセン氏は、「今回のIUCNレッドリストの最新版では、ナガスクジラやマウンテンゴリラの個体数回復に見られるように、保全行動の力を示してくれた。これらの保全成功事例は、政府、企業、市民社会による野心的で協同的な努力が種の損失という潮流を元に戻すことができるという証拠。効果的保全行動を緊急に強化、維持することが必要だ」とコメントしている。

(写真はイメージ)
 

参考記事
IUCNレッドリスト更新を発表 野生の作物種に絶滅危惧(2017/12/10)