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長江文明消滅の原因は急激な寒冷化 気候変動の影響を知る手がかりに

長江文明消滅の原因は急激な寒冷化 気候変動の影響を知る手がかりに

東京大学は、約4200年前に中国の長江文明が突然消滅した原因が、長江デルタにおける急激な気候寒冷化によるものである可能性が高いと発表した。研究成果は1日付の『クォータナリー・サイエンス・レビューズ』に掲載された。

長江デルタは、世界で最初に水稲栽培を開始した長江石器文明が栄えた地域で、日本の水稲栽培の起源の地だといわれている。約7500年前から始まった長江文明は約4200年前に突然衰退し、その原因を多くの学者が調査してきたが、統一的な見解は得られていなかった。

今回、東大と日中の研究機関からなる共同研究グループは、長江デルタ付近から海洋堆積物サンプルを採取し、約1万1700年前~現在(完新世)の期間に表層の海水温がどのように変化したかを放射性炭素年代測定によって調べた(*1、*2)。その結果、長江デルタで約3800~4400年前に複数回、急激な寒冷化(3~4度の水温低下)が発生していたことがわかった。この急激な寒冷化が稲作にダメージを与え、長江文明を崩壊させた可能性が高いという。

先行研究では、この時期に東アジアや北西太平洋で、エルニーニョ現象の発生頻度の増加や黒潮の変調など気候システムに大きな変化があったことが示唆されており、これらの要素が相互に関係して長江デルタに急激な寒冷化が発生したとみられている。

地球温暖化が進行している現在、過去の気候変動の規模やメカニズムが人類にどのような影響を与えたか知ることは、人類の将来設計のために重要で、同研究は当時の環境を復元できる大きな手掛かりとなる。

*1 完新世:約1万1700年前~現在の時代区分。最終氷期が終了し、比較的温暖で安定した気候と考えられている。この時代に人類は農耕を開始し、飛躍的に繁栄した。

*2 放射性炭素年代測定:放射性同位体である炭素14(14C)の存在比率を用いた年代測定法。

(写真はイメージ)