火星に水が流れている証拠を発見 NASA

米航空宇宙局(NASA)は、現在も火星上に液体の水が流れている証拠を見つけた。2006年にNASAが火星に送り込んだ無人探査機マーズ・リコネサンス・オービター(MRO)からの観測による成果で、9月28日付の英科学誌『ネイチャー・ジオサイエンス』で公開された。

火星の斜面にある暗い縞模様は、暖かい季節(と言っても氷点下23度以上)には火星上の複数の場所に現れ、寒い季節には消え去ることが知られていた。繰り返し現れるこれらの縞模様は、これまでも液体の水と関係があるのではないかと言われてきたが、証拠がなかった。今回、MROのイメージング分光計で、縞模様の幅が比較的広い時に水分子が付いた塩分が検出された。同じ場所でも、幅が狭い時には検出されなかった。

「私たちは塩分を見つけました。縞模様そのもの、またはそれを形成する過程のどちらかがこの塩分の供給源です。どちらにしても、検出された塩分は、水がこれらの縞模様の形成に重要な役割を果たしていることを意味します」と、論文の筆頭執筆者でジョージア工科大学の大学院生ルジェンドラ・オジャさん。彼は2010年、アリゾナ大学の学部学生であったときに、火星の表面に水の流れたような跡があることに最初に気づき、研究を続けてきた。

オジャさんらは、検出された塩分は過塩素酸塩だと考えている。いくつかの過塩素酸塩は、氷点下70度でも凍結せずに液体を維持する。過塩素酸塩自体は、NASAの火星探査機フェニックスや火星探査車キュリオシティでも、火星上で見つかっている。しかし、今回は以前探査したのとは異なる地域であり、水分子が付いた過塩素酸塩だ。

NASAの科学観測本部のジョン・グランスフェルド次長は、「宇宙で生命を探すのは『水を追う』ということです。火星の表面で、今日、たとえ塩水だとしても『水』が流れていると確認でき、意義深い進展です」と述べた。

画像提供:NASA