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マリーゴールドの殺虫効果を解明 農作物の病害虫防除に期待

マリーゴールドの殺虫効果を解明 農作物の病害虫防除に期待

中部大学 応用生物学部 環境生物学科の長谷川浩一准教授と、同大学院 応用生物学研究科 応用生物学専攻 博士後期課程2年の浜口昂大たかひろさんが、マリーゴールドに殺虫効果があることを遺伝子研究で明らかにした。古くからマリーゴールドを畑に植えると作物の害虫である線虫を抑制する効果があることは知られていたが、研究により証明されたのは初めて。今回の研究成果は英国の生物学専門誌「Biology Open」(電子版)に掲載された。

線虫とは土壌中に存在し、農作物に寄生することによって農作物を枯らすことで知られている害虫。さまざまな病害虫の中でも線虫によるものが特に多く、被害額は世界中で年間1000億ドルにもなるといわれる。マリーゴールドはその線虫を抑制する対抗植物として古くから知られており、農作物の端境期に畑に植えたり、輪作に利用されたりしてきた。しかし、マリーゴールドの根から分泌される化学物質αターチエニルが主な効果であると予想されていたものの、証明はされていなかった。

今回、中部大学の長谷川研究室では、理化学研究所やポルトガルのエボラ大学と共同で、細胞・遺伝子レベルでマリーゴールドの殺線虫作用を証明した。実験生物には線虫カエノラブディティス・エレガンス(以下、エレガンス)を使用。エレガンスをゲノム編集し、マリーゴールドから分泌されるαターチエニルによる酸化ストレス性を受け、解毒酵素のグルタチオンS―トランスフェラーゼ(GST)などができると、緑色蛍光タンパク質(GFP)蛍光を発するようにした。ゲノム編集して視覚的に解毒酵素の働きがわかるようにしたエレガンスに、マリーゴールドの根から分泌されるのと同じαターチエニルを投与すると、表皮で蛍光を発しながら死んでいくことが確認された。これにより、αターチエニルは酸化ストレス性の殺線虫作用を持ち、線虫の表皮から効果的に浸透して殺虫することが示された。

世界の人口が加速的に増加しているなか、これからの農業には、できる限り農薬の使用量を減らし、さまざまな病害虫対策を組み合わせた総合的病害管理(Integrated Pest Management:IPM)が重要になる。今後はさらに研究を進め、農薬の使用量を減らしつつ、農作物の収穫量を増やす農作技術の実現を目指すという。

(写真はイメージ)