NASAの火星探査車「パーサヴィアランス」が火星に到着

NASAの火星探査車「パーサヴィアランス」 古代の微生物の痕跡を探索

米航空宇宙局(NASA)は、火星探査ミッション・マーズ2020の探査車「パーサヴィアランス」が日本時間2月19日午前5時55分に、火星のジェゼロクレーターに無事に到着したと発表した。

パーサヴィアランスは「忍耐」という意味で、NASAが火星に送り込んだ5台目の探査車。地球から4億7200万kmを203日かけて到着した。主なミッションは古代の微生物の痕跡を探索し、サンプルを収集すること。これらのサンプルは、2031年以降にNASAが欧州宇宙機関(ESA)と協力して計画している宇宙船で火星地表から回収され、詳細な分析のために地球に持ち帰ることになっている。

直径約45kmのジェゼロクレーターは、火星の赤道のすぐ北にある巨大な衝突盆地であるイシディス平原の西端に位置する。35億年前、クレーターには三角州があり水で満たされていたと考えられる。パーサヴィアランスは、古代の湖底と三角州の岩と堆積物を2年間かけて調査し、この地域の地質と過去の気候を調査する予定だ。

パーサヴィアランスには火星初となる地中レーダーが搭載されており、火星の表面のさまざまな層が時間の経過とともにどのように形成されたかを判断するために使用される。このデータは、地下の氷の堆積物を探すのに役立つ可能性がある。また、将来の有人探査に向けて、希薄でほとんど二酸化炭素で占められる火星の大気から酸素を生成するテストを行う。火星で生成された酸素は、将来の有人探査で呼吸に用いられるだけでなく、地球へ戻るための宇宙船の推進剤に利用される計画だ。

パーサヴィアランスには小型のヘリコプター「インジェニュイティ」が搭載されている。別の惑星で、最初の動力付きの制御された飛行を試みる予定だ。このテスト飛行が完了した後、探査車による古代の微生物の痕跡の探索が本格的に開始される。

画像提供:NASA/Bill Ingalls