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WHILLの自動運転車椅子、羽田空港や慶応大学病院や阪大病院など展開範囲を拡大

パーソナルモビリティの生産販売会社のWHILL(ウィル)は10日、自動運転機能搭載の車椅子「WHILL自動運転システム」の運行サービスを羽田空港国内線第1・第2ターミナル出発ゲートラウンジ全域に拡張したと発表した。さらに16日、同システムの実証研究を従来から行っていた慶應義塾大学病院に加えて、大阪大学医学部付属病院および国立成育医療研究センター産科病棟で行うと発表した。

パーソナルモビリティとは一人乗りの移動支援機器のこと。WHILL自動運転システムは、同社が独自に開発した自動運転・衝突回避機能などを備えた車椅子だ。同社は長距離の歩行が困難な高齢者や障害者の移動をスマートにする、歩道領域におけるMaaSMobility as a Survice:移動のサービス化)の一つとして開発・提供を進めている。

同システムは20207月に羽田空港第1ターミナルエリアで初期導入された。空港の利用客は自身でタッチパネル操作をして、自動運転モビリティに座って搭乗ゲートまで移動できる。自動運転車椅子は無料で使用でき、使用後は無人自動運転で機体が自ら移動して、待機場所まで返却される。

長距離の歩行が困難な乗客に快適な移動手段を提供するとともに、利用時に空港係員との接触を回避して新型コロナウイルス感染症への感染リスクの低減にも寄与するとしている。

空港における自動運転パーソナルモビリティの実用化は羽田空港が世界初。初期導入期間において安定した運用が確立されたために、2021614日より羽田空港第1・第2ターミナルの国内線出発ゲートラウンジ内の全域において展開することになった。

慶應義塾大学病院での実証実験は20209月から開始した。外来患者に対して院内の移動手段を提供するとともに、医療スタッフの負担軽減を目的として実施した。利用者が累計で4000人を突破したことから、導入時からの1号館1階案内カウンターと正面玄関の間の既存のルートに加え、20216月から2階のルートを拡張することになった。

阪大病院での実証実験は202167日からで、やはり外来患者の院内の移動手段を提供する。

また国立成育医療研究センター産科病棟での実証実験は既に開始されており、病棟内での利用は国内初。出産直後の患者は身体の痛みなどのため車椅子でLDR(陣痛・分娩・回復室)から病室に戻ることが多く、医療スタッフが車椅子を押して移動していた。他にも新生児を乗せたカートや、患者の荷物などを運ぶ作業もあり医療スタッフに大きな業務負荷がかかっていた。同システムの導入によって、医療スタッフの業務効率化や患者の移動における安全性・利便性などを検証していく。

同社は今後も続けて関係機関と実証研究の結果を基に連携を深め、 システムの利用範囲を順次拡張してサービスの向上を図っていくとしている。

画像提供:WHILL

自動運転車椅子、2020年度から実用化へ WHILL