電気自動車の普及に一歩前進 理科大が新たな給電技術を開発

東京理科大、太陽光発電と走行中ワイヤレス給電を組み合わせた新たなEV給電技術を開発

東京理科大学は24日、理工学部の研究グループが太陽光発電(PV)と走行中ワイレス給電(DWPT:Dynamic Wireless Power Transfer)を融合させたシステムを開発し、実車を用いた実験に世界で初めて成功したと発表した。

カーボンニュートラル実現への手段として電気自動車(EV)の普及が世界各国で推進されているが、日本ではあまり進んでいない現状がある。その大きな要因となっているのがEVに搭載される大容量のバッテリーに起因する高い車両価格と長い充電時間だ。

これらに対する解決策となるのが走行中ワイヤレス給電(DWPT)の技術だ。2020年に停車中ワイヤレス充電の国際規格が制定され、これから本格的な販売が始まる段階だが、DWPTはその次に来る技術といわれている。例えば都市間の高速道路上で走行中に給電することにより、必要なバッテリーの容量を最小化しつつも航続距離を飛躍的に伸ばすことができる。

今回の研究では、太陽光発電(PV)を活用し、道路に沿ってPVを大量導入して電力を地産地消することを目指したシステムを検討した。PVの導入が進むと、昼間に発電量が需要を上回って余剰電力が発生するという問題が生じる。DWPTは自動車が多く走行する日中に電力を消費し、さらにバッテリー充電まで行うので、余剰電力吸収先として親和性が高い。

システムは、PVとDWPTの間に電気二重層キャパシタを挟んだ構成とした。これによってPVの出力制御装置とDWPTのそれぞれで想定される負荷変動の周期のずれを吸収することができる。また、インバータの制御によって給電電力を一定にするようにした。

研究グループは上記のシステムを屋内基礎実験装置による小電力実験によって検証、出力電力の最大化を行いながら一定の電力を給電し続けられることが確認された。さらに実際のEVの床下に受電回路を設置し、同大野田キャンパスに用意したDWPT実験用道路に送電システム及びPVを設置して、実車を用いた実験を行って、屋内基礎実験と同様に動作可能であることが示された。

この研究により太陽光発電と走行中ワイヤレス給電システムとの融合が可能であることが示された。今後は実際に埋設したコイルでの大電力伝送実験や、雨水、海水の有無による影響の評価などを通し、社会への実装へ向けた詳細な研究を進めていくとしている。

写真提供:東京理科大