新しい海洋生分解性プラスチック開発、海洋プラごみ問題解決を目指す 群馬大

群馬大学の研究者らが、海洋プラスチックごみ問題解決の切り札となり得るプラスチックを開発した。「摩耗スイッチ搭載海洋生分解性プラスチック(微生物埋込型プラスチック)」と名付けられたプラスチックは、海洋に流出した後に急速に分解が進むようになっている。6日に国際学術誌「Polymer Degradation and Stability」にオンライン掲載された。

海洋プラスチックごみ問題は世界的な課題であり、多くの国々が解決策を模索している。生分解性プラスチックは環境中の微生物によって無害な化合物に分解されるため、この問題の解決に有望な手段として注目される。しかし、多くの生分解性プラスチックは土壌中では分解が進むものの、海洋に流出した後には分解が進みにくいという問題があった。そこでプラスチックに分解しやすい構造を組み込むなど、さまざまな手法が検討されてきた。

今回、この問題を解消するために、プラスチック内に微生物を休眠状態で封じ込めておき、海洋に流出してプラスチックが古くなると微生物が活性化して分解酵素を生産し、急速に分解が進むようにした。ここで用いた微生物は休眠状態では熱に対して高い安定性があるため、プラスチックを溶かしながら練り込むことも可能だという。この研究グループは、同様の技術で土壌中の生分解性向上に効果があることも実証し、特許も取得している。

今回のように、分解酵素を生み出す微生物を練り込むことで海洋での生分解性を高めた研究はこれまでにないという。この技術を用いれば、プラスチックごみが海洋に流出した後に安定して無害化することができ、海洋プラスチックごみ問題の解決に役立つと期待される。

画像提供:群馬大学(冒頭の写真はイメージ)