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国立台湾博物館で、台湾の歴史の歩みを辿る

台北市内の国立台湾博物館は、日本統治時代の1908年に設立された台湾最古の博物館だ。二二八平和記念公園に隣接する本館と、通りを挟んだ向かいにある古生物館、中正紀念堂に近い南門パークにある南門館、北門駅近くの鉄道部パークの4館で構成されている。これらのうち本館と古生物館を紹介する。

本館は元々、第4代台湾総督だった児玉源太郎と、第3代民政長官だった後藤新平の功績を記念する「児玉総督及後藤民政長官記念博物館」として建設された。工事の完了と共に台湾総督府に寄付され、台湾の産業と自然を紹介する「台湾総督府博物館」として開館した。このため、本館正面を入った吹き抜けホールの天井にあるステンドグラスには、児玉家と後藤家の家紋を組み合わせた図案が使われ、2人の銅像が1階ロビーに置かれていた。戦後、国民政府はこの2体の銅像を撤去したが、設立100周年を機に3階に展示され現在に至っている。

エントランスホール天井のステンドグラス

現在、本館の常設展示は「台湾発見」と題して、台湾の自然界が現代の自然史によってどのように「発見」されたかが示されている。まず、台湾という島が600万年前にどうできたのか、そして多様な固有の生物が存在していることを示している。ここで高海抜動物にカラスが展示されており、都市部にはカラスがいないというのは興味深い。その後に歴史上、台湾がどう認識されてきたのかが示されており、台湾人について想像で描かれたために、実際には地面に座っていたのが椅子に座って描かれている様子なども展示されている。「神霊世界」と書かれたエリアには先住民の信仰観などの展示もあり、奥には1939年に神戸で作られた当時の日本領土のさまざまな民族の姿を模した人形の展示もある。

「神霊世界」の展示
戦前の日本領土のさまざまな民族の人形

一方、古生物館は1933年に日本銀行台北支店として建設された建物を利用している。戦後は台湾土地銀行の本店として使われ、2005年に台湾博物館が史跡の修復とその後の運営管理を担当することになり、「自然金融史博物館」として位置づけられた。2008年に始まった修復プロジェクトでは、特徴的な鉄骨鉄筋コンクリート構造や石洗浄・吊り下げ工法が採用され、天井付近の石膏レリーフなども修復された。

古生物館の常設展示は「古生物展」として、生物がこれまで5回の大量絶滅を経験しており、化石を通して生命の進化の足跡をたどる形になっている。柱のない天井の高い日本銀行時代の営業スペースに、巨大な恐竜の骨格標本が並んでいる。奥には「召喚史前巨獣」と書かれた大型ディスプレイがあり、二次元コードをスマートフォンで読み込むとディスプレイ上にいくつかの恐竜を召喚することができる。

日本と関わりの深い台湾が、どのような人類史・自然史を歩んできたのか、ダイナミックに学ぶことのできる博物館だ。

 

国立台湾博物館 公式ホームページ