100年超の森でなぜ多様な木々が共存できるのか? 京大らが解明

京都大学などの研究グループは、なぜ100年を超える森でも巨木だけが残らず、小さな木々も共存できるのかという謎を解明した。若い森から成熟した森へと発達する過程で、樹木の「光獲得」と「光利用」のバランスが劇的にシフトした結果、異なる大きさの木々が共存する森へと移り行くことがわかった。今回の研究成果は、生態学の国際誌『Journal of Ecology』に掲載された。

森は人為的な伐採や台風による倒木などで大きなかく乱があっても、数十年かけて回復していくとされる。森の形成過程では、樹木同士が太陽の光を奪い合う「光競争」が発生し、光は上空から降り注ぐことから背の高い木が光を独占する。そのように背の低い木の成長を抑圧した結果、森は巨大な構造になっていく。こうして常に背の高い木が勝ち続けていけば、成熟した森には巨木しか残らないはずだが、実際には100年を超える森でも、大小さまざまな木々が共存している。

この木々の競争と共存の関係は長年謎に包まれており、森の中で個々の木が「どれだけ光を獲得し」、「どれだけ効率よく光を成長に変換しているか」を評価する必要があった。

同研究グループは、北海道大学苫小牧研究林にある、大規模なかく乱から16~100年以上が経過した12区画を調査。小型センサーと伸縮式のポールを用いて、林内の光を三次元的に計測し、個体あたりの光獲得量と光獲得量当たりの成長速度を評価した。

その結果、森の年齢に関わらず、背の高い木は背の低い木に比べて光の獲得効率が高い一方、光の利用効率は悪いことがわかった。強すぎる光による過剰な光合成や、上まで水分を吸い上げるストレスなどで、獲得した光を成長に変換する効率が悪くなることが確認できた。

また、「光獲得率」と「光利用効率」のバランスは森の成長段階で大きく変化することがわかった。若い森の場合は光利用効率の低さより光獲得効率の高さが上回るため、背の高い木ほど相対的に成長が早くなる。一方で成熟した森になっていくと、光利用効率の高い背の低い木が現れるため、巨木と小さな木が共存するような森の構造が維持されることがわかった。

同グループは今回、樹木の光の獲得率と利用効率の違いにより、多様な樹木が共存できるということを発見した。このアプローチは今後、世界の森林構造の違いの統一的な理解や、多様性に富んだ持続可能な森林管理などの基盤となることが期待される。

(写真はイメージ)