米国産ジャガイモ輸入拡大の是非 国内農業の防衛と消費者のメリット

ポテトサラダや肉じゃが、フライドポテトなど、食卓に欠かせないジャガイモ。日本は米国から冷凍品のほか、ポテトチップス加工用に限って生のジャガイモも輸入している。一方、米国産の生ジャガイモを一般の生鮮品として流通させることは認めていない。しかし、米国から2020年に要請を受け、輸入解禁に向けた病害虫のリスク評価が進んでいる。農林水産省が定める11段階の手続きのうち、現在は3段階目にあたるリスク評価を実施中であり、解禁が正式に決まったわけではない。

輸入拡大が議論になる背景には、海外からの病害虫の侵入リスクがある。現在のポテトチップス用としての輸入には、指定地域での検査、密閉型コンテナーによる輸送、指定施設での加熱加工など、国内に病害虫を持ち込まないための厳しい条件が付いている。土の付着が確認されれば、その便で輸入されたジャガイモすべてを廃棄または返送するなどの措置もある。こうして病害虫や土が国内の農地に入り込む経路を厳しく制限している。

今回議論されているのは、生のジャガイモを一般の食用として広く流通させることだ。問題は生産国がどこかということではなく、海外に存在する病害虫が日本に侵入する可能性にある。例えば根に寄生する害虫の「ジャガイモシストセンチュウ」は、土壌中で長期間生存できる。土壌や土の付着した農機具などを介して分散することもあるため、一般流通を認める場合にはこのリスクをどう抑えるかが重要になる。

国内では2015年、北海道網走市で別の種類のシストセンチュウが初めて確認され、斜里町や清里町などでも発生が確認された。現在も一部地域で緊急の防除措置が続けられており、他地域への拡大を防ぐために、作付けの禁止や植物・土壌の移動制限などの対策が取られている。

国内の生産者が警戒するのは、単に安い米国産が流通して国産品が売れにくくなるという価格競争だけではない。病害虫が国内の産地に侵入し、生産そのものに被害を及ぼす可能性があるからだ。一方、輸入が拡大すれば、消費者にとっては価格低下や供給の安定につながるという利点もある。病害虫の侵入を防ぎながら、輸入のメリットと国内農業の保護をどう両立させるのかが課題となっている。

Photo by Scott Bauer, USDA Agricultural Research Service.(米国で生産されるジャガイモ。日本ではポテトチップス加工用などに限って生のジャガイモの輸入が認められている。)