宇宙を「広く見る」と「直接調べる」 ローマンとMMXが相次ぎ始動

2026年8月から10月にかけて、宇宙を探る2つの大型ミッションが相次いで動き出す。米航空宇宙局(NASA)は8月30日、次世代の宇宙望遠鏡「ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡」(以下、ローマン)を打ち上げた。一方、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は10月20日、火星衛星探査機「MMX」をH3ロケット10号機で打ち上げる予定だ。

ローマンの特徴は、広い範囲を一度に観測できることだ。主鏡の直径は2.4メートルで、ハッブル宇宙望遠鏡(以下、ハッブル)と同じ大きさ。それでも一度に観測できる空の範囲を示す「視野」はハッブルの100倍以上あり、同程度の解像度で広い範囲を効率よく調べられる。10億を超える銀河の光を観測し、その分布や変化を調べることで、宇宙がどのように変化してきたのかを探る。宇宙の膨張を加速させていると考えられている「暗黒エネルギー」や、光を出さず重力の影響などから存在が分かる「暗黒物質」の謎に迫るほか、太陽系外惑星も調査する。

一方、MMXが向かうのは火星の周囲を回る小さな衛星フォボスだ。フォボスが火星への巨大な天体衝突で生じた物質からできたのか、それとも小惑星が火星の重力に捕らえられたのか、その起源は分かっていない。日本は1998年に火星探査機「のぞみ」を打ち上げたが、2003年に火星周回軌道への投入を断念した。MMXでは、その後の「はやぶさ」「はやぶさ2」などで培った小天体への着陸やサンプル採取の技術を生かし、フォボスの表面から10グラム以上の試料を採取して地球へ持ち帰る。試料を詳しく分析することで、フォボスの起源や火星圏の歴史を知る手掛かりを得ることが期待されている。フォボスから試料を持ち帰ることに成功すれば世界初となる。

ローマンは広い範囲を一度に観測し、MMXは一つの天体に近づいて実際の物質を調べる。遠くから「広く見る」ローマンと、近くから「直接調べる」MMX。見る対象も方法も異なる2つのミッションが、それぞれの強みを生かして宇宙の謎に挑む。

(冒頭の写真はナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡 提供:NASA Goddard Space Flight Center/Conceptual Image Lab)