脳の「進化の記憶」を鳥の脳から解き明かす

京都府立医科大学の野村真准教授らが、哺乳ほにゅう類と鳥類の脳に共通した仕組みや同様の神経幹細胞の存在を発見した。哺乳類の知性の基盤となる脳の「進化の記憶」を鳥類の脳から解き明かし、今後は小頭症などの先天性脳神経疾患の原因究明に繋がるものと期待される。

人類を含めた哺乳類の大脳皮質は、脳の中でも最も重要な部分だ。しかし、進化の過程でどのように獲得されてきたのか明らかになっていない。これまで哺乳類と他の動物の脳の発生過程を比較した研究はほとんどなかったため、今回、哺乳類と同じく大脳が大きく発達し、社会性や高度な知性を持つ鳥類と比較した。

哺乳類の先祖と爬虫はちゅう類・鳥類の先祖が現れたのは今から2億年以上前。共通の祖先から分かれたのははるか昔で、進化の系統樹上でも遠く離れた哺乳類と鳥類だが、神経幹細胞ができる仕組みを解析したところ、両者の脳に共通したものがみつかった。その結果、哺乳類、特に霊長類の大脳皮質に多く存在する神経幹細胞と同様の特徴を持つ細胞が鳥類にも存在していたことが分かった。進化の過程で、哺乳類と鳥類が共通した仕組みで大きな脳を獲得したと考えられ、大脳の進化の起源に迫る手がかりとなる。

同研究は5日、英科学雑誌『デベロップメント(Development)』のオンライン速報版に掲載された。

(写真はイメージ)

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