レーザーでコンクリート内のひび検出 速さ50倍に高速化

日本原子力研究開発機構、レーザー技術総合研究所、理化学研究所の合同研究グループが、レーザーを用いたコンクリート内の「ひび割れ」などの欠陥を検出する「レーザー欠陥検出法」を高速化し、従来の50倍の速さでの検出に成功した。

日本にはトンネルや橋などコンクリートを使用した社会インフラが多くある。高度経済成長期に建設されたものが多く、経年劣化によって崩落事故などにつながる危険性が懸念されている。健全性を診断するためには、専門の検査員がハンマーでコンクリートを叩き、音の変化から判断する「打音法」が用いられているが、検査に時間がかかる上、接触式なので検査員が危険にさらされる恐れもあった。

そこで遠隔・非接触での診断技術として、レーザーでコンクリート表面に振動を与え、別のレーザーで振動の様子を調べる方法をJR西日本とレーザー技術総合研究所が開発したが、これまで1回の計測に2秒かかっていた。今回、合同研究グループは「高速動作が可能な振動励起レーザー」と「高速掃引レーザー計測システム」を開発し、コンクリート内部の模擬欠陥を1秒間に25回の速さで検出できた。今後、実際のトンネルにおいて想定される深さ、形状、大きさなどさまざまなタイプの欠陥の検出を検証していく。

音と光の違いはあるが、レーザー欠陥検出法の原理は打音法と変わらない。これまで蓄積されてきたさまざまなタイプの欠陥に対する音データと振動データを関連付け、打音法に代わる遠隔・非接触のトンネル安全性検査技術として期待される。さらに、検査の自動化による、効率化・低コスト化も期待できる。

同研究は、内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の中の「インフラ維持管理・更新・マネジメント技術」の研究開発課題「レーザーを活用した高性能・非破壊劣化インフラ診断技術の研究開発」の一部として、科学技術振興機構(JST)からの委託研究で実施された。

画像提供:科学技術振興機構(JST)

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