【コラム】10代だけが聞こえる音

以前、韓国の携帯電話市場で「10代だけが聞こえる着信音」が鳴る製品が話題になったという話を聞いた。この着信音の主な目的は、10代の携帯使用者たちが学校や公共の場所で、大人の機嫌を伺わず、携帯電話の着信音を聞こえるようにしてあげるためだったらしい。自分の携帯電話ではない他の人の携帯電話の着信音を聞く必要がないので、奇抜であり面白いアイディアだと思った。

「10代だけが聞こえる着信音」とは一体何だろうか? 実際の着信音は「ピィ~」という音だが、その単純な音が、20代以上には聞こえないらし
い。これは「モスキート音」と呼ばれ、10代には聞こえるが20代後半以上には聞こえづらいという高周波数だ。数年前に携帯電話の着信音として導入され、特に米英では人気があったという。

元来、人間が聞くことができる音の範囲はそれほど広くはない。周波数で言うと20~2万Hzだ。ちなみに、犬は15~5万Hzを聞くことができ、イルカは150~15万Hzの音を聞くことができる。何の音もしないところでそばにいる犬が耳をピンと立てて吠えることも、私たちが聞けない高い周波数の音に反応することでもあり得るだろう。

人間の可聴範囲である20~2万Hzのうち、実際の対話の際によく使われる周波数は125~8000Hz程度に縮まる。つまり、対話をして日常生活に支障なく生きていくには125~8000Hzだけがうまく聞ければいいというわけだ。。

人間の耳は20代から老化が始まるといわれている。言い換えると、耳は生まれた瞬間から成長期が終わった感覚器官なので、よく保護しなければ損傷を受けるばかりで、自ら状態がよくなったり、機能が発達することはないということだ。

たとえば、人間の聴感覚老化の特性は、高周波数の2万Hzから聞けなくなるという。2万Hzからスタートした老化は、次第に低い周波数に移し、50代くらいになると、8000Hzに影響を与えることになる。普段あまり使わない周波数の失うことなので、一般的に50代になる前には聴感覚の老化を感じることができないのだ。このように、10代だけ聞こえる着信音は1万6000Hzの音で、これはボリュームを下げると20代には聞こえづらい高周波数であり、つまりは「健康な10代の耳にだけ聞こえる音」といえるだろう。

ところが最近、私の生徒に大学生もいるのだが、彼らの聴力検査結果を見ると、「10代だけ聞こえる着信音」が「10代も聞こえない着信音」になりそうな危機感を感じることがある。5年前の生徒たちの聴力検査結果と比べて、目に見えて差が分かるほど、最近の青少年らの聴力がよくないのだ。正常範囲でよく聞けているとしても、過去の青少年たちほど健康でないということがいえるかもしれない。これはつまり、老化が早く開始するという話でもあるだろう。「10代だけ聞こえる着信音」が、過去の思い出として語られないことを願うばかりだ。

 
(写真はイメージ)

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