世界遺産を訪れる ドイツ ヴィース教会

アルプス山脈を望むドイツ・バイエルン州の片隅に、「ドイツで最も美しいロココ様式の教会」と言われるヴィース教会がある。豊かな草原が広がり、牛や馬がのどかに放牧されている小さな田舎の村シュタインガーデンの一角。ユネスコ世界遺産にも登録されているが、教会建物も、外観には際立った派手さはない。そんな小さな田舎の教会が、ひっきりなしに観光客や巡礼者を引き付けているのには理由がある。それは、教会の祭壇に飾られているキリスト像だ。

このキリスト像は通常の教会で見られる十字架の磔刑像ではなく、鎖につながれて鞭打たれるイエス・キリストの姿で、当初飾られていた修道院で、その姿がむごたらしいとして好まれず、取り下げられて8年間農家の屋根裏にしまい込まれていた経緯があった。しかしその家の夫人がある日、このキリスト像の目から涙が流れているのを発見する。この逸話が「奇跡」として広まり、キリスト像を見に大勢の巡礼者がこの村を訪れるようになった。このキリスト像を飾るために建てられたのがヴィース教会だった。村の修道院が中心になり、少ない資金に一般からの寄付を募り1754年に完成したという。

ドイツ・ロココ様式を代表する建築家ドミニクス・ツィンマーマンと、その兄弟でバイエルン王家の宮廷画家だったヨハン=バプティスト・ツィンマーマンによるヴィース教会内観は、素朴な外観からは想像できない、光にあふれた明るい彩色の聖画と装飾が施されている。ちょっと気になるのは、天の玉座が空席になっていること。そのことをドイツ人ガイドに尋ねると、「神様はキリストを通して地上で働かれるのです。今、ちょうどお忙しいのでは?」との答えが返ってきた。

【所在地】
Wieskirche(ヴィース教会)
Wies 12
86989 Steingaden
www.wieskirche.de

【開館時間】
8:00~20:00(冬期は8:00~17:00)

ユネスコ世界遺産のヴィース教会を訪ねる(ドイツ)
草原の中にたたずむヴィース教会

ユネスコ世界遺産のヴィース教会を訪ねる(ドイツ)
聖画と装飾の美しさに思わず息を飲む

ユネスコ世界遺産のヴィース教会を訪ねる(ドイツ)
伝説となった「涙を流していた」とされるキリスト像

ユネスコ世界遺産のヴィース教会を訪ねる(ドイツ)
新約聖書の一場面「イエス・キリストの足を洗うマグダラのマリア」

ユネスコ世界遺産のヴィース教会を訪ねる(ドイツ)
ちょっと気になる「空席の玉座」

 
Facebook Like!

関連記事一覧