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東アジアのNO2汚染レベルが回復傾向 中国は5年前のレベルに

千葉大学環境リモートセンシング研究センターの入江仁士ひとし准教授らは、欧米の大気環境衛星センサー(OMI、Ozone Monitoring Instrument)のデータを解析し、2015年の東アジア域における大気中の二酸化窒素(NO2)による汚染レベル(大気中存在量)が5年前のレベルに回復していることを明らかにした。特に中国での汚染レベル減少が顕著だった。

2005~15年の期間で、中国・日本・韓国の各国について、上空の大気中NO2汚染レベルを見積もった。その結果、2011~15年に中国上空のNO2汚染レベルが年6%の速度で減少していることが分かり、2005~11年と比べると明らかな違いが見られた。またNO2汚染レベルは中国の広範囲で減少していることも分かった。

一方、日本では2013年から、韓国では2012年から、NO2汚染レベルがやや悪化する傾向が認められたものの、日本や韓国上空のNO2存在量は中国の20分の1程度と少ない。総じて、2015年の東アジア域におけるNO2の汚染レベルが5年前のレベルに回復していることが明らかになった。

東アジアのNO2汚染レベルが回復傾向 中国は5年前のレベルに
2005~11年(上)と2011~15年(下)のNO2の大気中カラム濃度の年増加量の地理的分布

中国では窒素酸化物等の排出量の増加が示唆されている一方、窒素酸化物の排出量削減を盛り込んだ第12次5カ年計画が2011年に施行されるなど、国家レベルでの大気汚染対策を急ピッチで進めているとされている。しかし、ごく最近までの排出量は公表されておらず、窒素酸化物の大気汚染レベルの変化とその要因は明らかになっていなかった。今回の研究結果により、脱硝装置の普及などの国家レベルでの大気汚染対策の効果が示唆された。

日本では、福島第一原子力発電所の事故により原子力発電から火力発電への転換が進んでおり、その影響ではないかと考えられている。韓国の要因を議論するには今後のさらなる解析が必要という。

同センターは、「日本ではこれ以上の火力発電への転換は予期されないことから、NO2汚染レベルの悪化は一過性のものと考えられる。一方、中国は今後の人口増が予期され、それによる排出量増を相殺するさらなる取り組みの強化(再生可能エネルギーの利用など)が必要」としている。

同研究は7日に日本気象学会の英文レター誌「Scientific Online Letters on the Atmosphere(SOLA)」のオンライン版に掲載された。

画像提供:千葉大学
(冒頭の写真はイメージ)

 
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