たった10分の「スローランニング」で脳も気分も向上 筑波大学など

歩くのとほとんど変わらないゆっくりとしたペースで走る「スローランニング」を10分間行うだけで、気分が快適になり、目標に向かって行動や意識を調整する脳の働き(実行機能)が向上する可能性があることが、筑波大学などの研究グループの調査で明らかになった。研究成果は、脳科学分野の国際学術誌「Imaging Neuroscience」にオンライン掲載された。

運動が脳に良い影響を与えることはこれまでにも報告されているが、多くの研究は自転車をこぐ運動を対象としており、ランニングが脳に与える影響や、どの程度の運動で効果が得られるのかは十分に分かっていなかった。

今回の研究では、平均22歳の健康な男女24人を対象に、歩くのに近い時速約3~6キロの速度で10分間走る「スローランニング」を実施。運動の前後で、実行機能を測定する課題や気分の変化を調べるとともに、脳活動も測定した。

その結果、スローランニング後は実行機能を評価する課題の処理時間が短くなり、実行機能の向上が確認された。また、参加者の快適度と覚醒度もともに高まっていたという。

さらに脳活動を測定したところ、実行機能や気分の調節に関わる前頭前野の一部の活動が高まっていることも確認された。同研究グループは、この脳活動の変化が、実行機能や気分の改善に関係している可能性があるとしている。

また、ランニング中の頭の上下の動きが大きい人ほど、運動後の快適度の向上が大きい傾向も確認された。研究グループは、ランニング特有のリズミカルな上下動が快適気分の向上に関わっている可能性があるとみており、今後さらに詳しく検証する予定だ。

今回のスローランニングは、「非常に楽だと感じる」ほどの超低強度の運動である。この結果により、ごく軽い運動でも気分の改善と実行機能の向上が同時に期待できる可能性が示された。同研究グループは今後、高齢者をはじめ幅広い年代や体力レベルの人でも同様の効果が得られるかを検証するとともに、運動が苦手な人でも継続できるかを確かめ、今回の成果を社会に還元していくという。

(写真はイメージ)