
脳活動から言葉を読み取る?「考えを話す」技術の現在地
脳に電極を置き、話そうとしたときの脳活動から言葉や身ぶりを読み取る「ブレイン・コンピューター・インターフェース(BCI)」という脳と機械をつなぐ技術の研究が進んでいる。米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)などの研究チームは、発話と身ぶりを同時に読み取り、画面上のデジタル人物に反映させる技術を開発した。9月14日、『Nature Neuroscience』に発表した。
研究には、脳卒中による重い麻痺と発話障害がある2人と、体を動かす神経が徐々に働かなくなる難病「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」による麻痺がある1人が参加した。3人には、発話や手足の動きに関係する大脳皮質(脳の表面部分)を覆うように253個の電極を配置した。脳卒中で重い麻痺がある2人では、発話に関係する大脳皮質の活動が残っており、研究チームはその信号を利用した。
発話と身ぶりを同時に読み取る実験を行ったのは3人のうち2人だ。脳卒中の参加者は5種類の発話と4種類の身ぶりを使い、発話と身ぶりの12通りの組み合わせを設定した。ALSの参加者は10種類の発話と10種類の身ぶりをすべて組み合わせた100通りを設定した。脳活動を解析するモデルが発話と身ぶりをそれぞれ判別し、発話を文字として表示するとともに、身ぶりをデジタル人物に反映した。さらに、限られた言葉や身ぶりを組み合わせ、会話形式で応答できることも示した。
ただし、頭の中のあらゆる「考え」を読み取れるわけではない。今回扱った発話や身ぶりは限られており、自由な言葉を無制限に読み取れる段階でもない。また、参加者は3人と少なく、病気の種類や残っている運動機能にも違いがある。電極を脳表面に埋め込むため、外科手術が必要という課題も残る。それでも、病気やけがで声や身体を動かせなくなった人が、脳に残る活動を使って言葉と身ぶりを組み合わせて意思を伝える技術として、BCIの可能性を示す成果となった。
画像提供:Brosler et al., Nature Neuroscience, 2026 / CC BY 4.0

