
下水道の腐食リスクを細菌データで予測 陥没事故防止へ 東北大
東北大学は1日、下水に含まれる細菌のデータを使って、老朽化した下水道管の腐食リスクを高精度に予測する手法を開発したと発表した。この手法は点検箇所を効率よく絞り込むことができ、道路の陥没事故を未然に防ぐ技術として期待される。研究成果は国際学術誌に掲載された。
全国の下水道管の多くはコンクリート製で、近年、その老朽化が問題視されている。管が腐食して穴があくと、道路が陥没する事故が各地で起き、深刻な社会問題となるからだ。しかし、すべての下水道管をカメラで点検するのは時間と費用がかかりすぎるため、危険な場所を事前に予測する技術が求められていた。
腐食の主な原因は下水に棲む特定の細菌が生み出す硫化水素で、このガスが別の場所で硫酸に変化して、管を溶かす。今回、東北大の研究グループは、マンホールから採取した下水の細菌データを分析し、生態学で使われる「種分布モデリング」という手法を用いた。この手法は、生物の観察データと環境条件から「その生物がどこに棲みやすいか」を推定するもので、野生動物の生息地予測などに使われてきた。
同グループは、これを下水道に当てはめ、管路網全体における細菌の生息しやすさを面的に推定した。さらに管の年齢や太さなどのデータと組み合わせ、機械学習で腐食リスクを予測した。実際の自治体の約3500区間の点検データで検証したところ、リスクが高いと予測された上位約29%の管路を点検すれば、実際に重度の腐食があった箇所の約89%を見つけられることがわかった。
今回開発した手法を用いることで、限られた予算と人員で優先的に点検すべき場所を科学的に決められるようになる。同グループは今後、複数の都市で適用を広げ、事故を防ぐ予防保全の実現を目指すという。


画像提供:東北大学(冒頭の写真はイメージ)

