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韓国・ベトナム平和財団 「ベトナム・ピエタ」像贈呈 虐殺を謝罪

韓国・ベトナム平和財団は11日、ベトナム中部のダナン博物館に、彫像「ベトナム・ピエタ像」を贈呈した。同財団は、韓国政府にベトナム戦争での虐殺事件の謝罪を求める運動をしており、贈呈した像はベトナム戦争中に韓国軍が行った虐殺行為を謝罪する意を込めたものだ。女性が赤ちゃんを抱く姿を描いたもので、被害者となった母子を表している。ベトナム現地メディア「VNエクスプレス」が同日報じた。

ベトナム語での作品名は「最後の子守歌(ロイ・ズー・クオイ・クン)」。「ピエタ」はイタリア語で通常、聖母子像を指す。作者は、キム・ソギョン、ウンソン夫妻。韓国の日本大使館前に設置されている従軍慰安婦像の作者でもある。

韓国紙ハンギョレの8月28日付のインタビュー記事では、キム夫妻がこの像を作ることにした理由として「当初ベトナム戦争についてあまり知らず、ベトナムを訪れた際に自国軍による虐殺のことを知り、とても悲しく、申し訳なく思った」と語っている。

韓国は1965年から、陸軍の猛虎部隊と白馬部隊、海兵隊の青龍部隊をベトナム戦争に派兵。主に猛虎部隊と青龍部隊による数千人の民間人虐殺事件が起きたと言われているが、韓国政府は自国軍によるベトナムの民間人虐殺を公式的には認めていない。韓国の退役軍人の圧力も強く、韓国内では国軍を「自由のために戦った勇士」とする記念碑などが多く建てられている。

ベトナム政府も、韓国との関係を悪化させないために、これまで虐殺事件についてはほとんど触れてこなかった。しかし9月11~17日にかけてベトナム紙トゥオイチェーが、韓国軍による虐殺の生存者の証言や現状、謝罪要求などを報じた。ベトナムでは言論統制が強く、政府や共産党の意向に反する報道はできない。この報道を政府が黙認したということになるため、政府が今までの方向性を変え始めていることの表れといえる。

今回の像の贈呈を含む、韓国・ベトナム平和財団の運動は、トゥオイチェーでの報道など、ベトナムでの新たな流れに時を合わせて進められている。

同財団初代理事長のカン・ウイル司教は、ハンギョレの4日付の記事で、「両国が活発に経済交流をするのは、歓迎すべきこと。民間レベルでは過去のつらい記憶を治癒し、互いに近づいてこそ、共に発展できる。貿易や韓流の拡散だけでなく、心の底にある傷を癒そうとする積極的な取り組みが必要。そしてベトナムの民間人犠牲者については、韓国政府レベルの謝罪が必要。それが人間の道理ではないかと思う」と述べている。

像の贈呈を含む民間での和解の運動が、今後政府の謝罪につながるかどうかが注目される。

(写真はイメージ)

 
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