花便り~ナノハナ

春を代表する黄色い花、といえばこの花だろう。一面に広がる見事な黄色い花畑を見たことがある方も、多いのではないだろうか。

ナノハナ(菜の花)は春に咲く黄色い花の総称として使われることが多い。よく見かけるのは、セイヨウアブラナ(西洋油菜)という種類だ。別名は、花菜はなな菜花なばな菜種なたね油菜あぶらなで、その種から採取されるのが「菜種油なたねあぶら」だ。花の咲く3月半ば~4月前半に降り続く雨のことを「菜種梅雨なたねづゆ」と呼ぶ。また、春の夜に浮かぶ霞がかった月を朧月おぼろづきというが、これを「菜種月なたねづき」とも呼ぶことからも、古くから日本人の生活に溶け込んでいたことが伺える。

現在でも、花の芽をおひたしやごまあえなどにして食すが、昔は菜種油を食用だけでなく明かりや潤滑油としても用い、油を搾った後に出るかすは畑の肥料にして、無駄なく使っていた。また、花の蜜は蜂蜜の原料となるため、養蜂家は開花を追ってミツバチと共に移動し、暖地から徐々に北上していったという。

俳句では春の季語とされ、与謝蕪村が詠んだ歌「菜の花や 月は東に日は西に」は有名だ。また「菜の花ばたけに、入日薄れ、見わたす山の端(は)、霞ふかし。~」というのは、高野辰之作詞の文部省唱歌「朧月夜おぼろづきよ」。情景が目に浮かんでくるような叙情的な歌だ。

春風のそよ吹く菜の花畑を思い浮かべ、今日も一日、明るく快活に過ごそうか。

花便り~ナノハナ
2016.3千鳥ヶ淵近辺にて

花言葉:快活、明るさ

ナノハナ(菜の花):アブラナ(油菜)科アブラナ属

 
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