子どもの読書意欲を上げる「ぬいぐるみお泊り会」 岡山大学が実験

子どもの読書意欲を上げる「ぬいぐるみお泊り会」 岡山大学が実験

岡山大学の岡崎善弘講師らの共同研究グループは、子どもに自発的な読書を促す取り組み「ぬいぐるみお泊り会」の前後における子どもたちの読書活動の変化を調査。参加した子どもは参加前に比べて読書活動をする時間が増えたことがわかった。研究成果は、科学雑誌『Heliyon』に2月28日付けで掲載された。

「ぬいぐるみお泊り会」は、幼児期の子どもが絵本に興味を持ち、自ら読書するよう促すための取り組みで、2006年頃から米国の公共図書館で始まった。子どもたちからお気に入りのぬいぐるみを預かって図書館に一晩「お泊り」させ、図書館でぬいぐるみが絵本を読んでいる場面を撮影。翌日以降、子どもたちに「ぬいぐるみが絵本を読んでいた」と伝えながら絵本と一緒に返却することで、絵本に関心を持たせられるというもの。日本でも2010年頃から静かなブームとなっているが、これまで教育効果の検証はされていなかった。

今回の調査では、国内の3~5歳の幼稚園児42人を対象に、お泊り会の前と後で「ぬいぐるみに絵本の読み聞かせをする」行動をとった人数の増減を調べた。お泊り会前には2人だったが、お泊り会からぬいぐるみが戻った当日には、21人が読み聞かせをした。3日後には4人にまで減少し、1カ月後には2人のみとなった。しかし、お泊り会のエピソードを子どもに思い出させると、14人が再び読み聞かせを始めたという。この実験から、お泊り会の効果は3日程度と短期的ではあるが、大人が語りかけて思い出させることで効果の持続が可能であることが分かった。

研究グループは、「子どもは、大人が本を読んでくれた幼少期から、小学校に上がって自主的に読書することが求められたとき、難しさを感じる傾向にある」とし、「お泊り会には、子どもの読書活動を受動的なものから能動的なものに転換する橋渡しの役割が期待できる」と述べた。

(写真はイメージ)

 
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