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「仕事、楽しめてる?」スーパー係長 中島賢一さん(3)楽しくない時こそ、楽しむ

「仕事、楽しめてる?」スーパー係長 中島賢一さん(3)楽しくない時こそ、楽しむ

特別インタビュー/公益財団法人 福岡アジア都市研究所 調整係長 中島賢一さん
(3)人生、仕事を楽しく変える秘密“マインドチェンジ”

福岡市の「スーパー係長」こと中島賢一さんへのインタビュー。前回は、行政の仕事をしながら、公私合わせて5つの肩書(ポートフォリオ)を持ち、各方面で活躍されている様子をうかがった。さまざまな役割を果たすうえで、時間の使い方や複数のポートフォリオをうまく掛け合わせるといった、中島さんが築いてこられた仕事のスタイルが見えてきた。
いつも楽しそうに仕事をする中島さん。そんな彼にも、もちろん「仕事をしていて楽しくない時」があるそうだ。しかしそれを切り抜ける、中島さんらしい工夫があるという。最終回となる今回は、仕事、人生を「楽しむ」方法についてお話いただいた。

「新しい」は、楽しくなる魔法の言葉

私はいつも何かを考える時に「新しい」というのを言葉の頭につけるようにしているんです。例えば、「病院の待合室では個人情報の問題があるため、個人名を呼ばないように改善する」というものを、「病院の待合所におけるセキュリティを確保する」と言うのは普通だし、特に面白くはない。でも、それを「新しい待合室をつくろう」に言い換えると、その中にエンタメ性やテクノロジーが入ってくる感じがして、楽しくなるんです。そこにセキュリティの担保の話を入れたらいいわけで。だから自分の知見をベースに「新しい」をくっつけられるように、常に新しいものや今の技術的トレンドを知る努力はしています。

それにしても「新しい」をつけると楽しくなるって不思議でしょ? 言葉の魔法ですよね。例えば、「新しい牛丼」というと、どう感じますか? 色々とイメージできますよね。牛肉がのってない白米を仮想現実(VR)で映像を流して、においも出して、食べてみるとか。実際には白米しか食べてないから、ダイエットに使えそうですよね。あとは「新しいゴミ拾い」って言うと、何か今までとは違う楽しそうな感じがしませんか?

――本当ですね。「新しい○○」という言い方をして話すようになったのは、いつごろから?

福岡県庁に入る前の民間のときかな。でも、特に県庁に入ってから意識するようになりましたね。ポケモンGOとかもそうですね。自分が元々ゲームをやる男なので、ポケモンGOが今までとは違う新しいゲームだなと思ってはいました。プレイヤーが外を歩き回るので、途中で電車に乗る、物を買うとか、何かしらの経済活動をするわけで。だから、ポケモンGOをやる人たちの状況を分析したら、新しい地域・町おこし的な話になるんじゃないかと考えて、アジア経済研究所で上司に相談して進めました。

仕事を楽しむために必要な考え方

人生って、寝る以外の時間のほとんどは仕事だと思うんですよ。人生の3分の1くらいが仕事だと考えると、人生の3分の1である仕事をどれだけ楽しくできるのかを常に考えるのがいいと思います。あと、自分自身をよく知らないと、楽しむこともできないので、自己診断はした方がいいと思いますね。私は年に1回、自分を表すキーワードを100個書き出してみるんですけど、これはおすすめです。

仕事をするときに、仲間に考えを理解してもらえるっていうのは大きいと思います。私にとっては「新しい=楽しい」なんです。新しいことが楽しさにつながれば、いろんな人が理解してくれると思っています。人って気持ちが良くなると、それを何回も体験したくなるです。心の気持ちよさには、他にも「すごい」とか「嬉しい」とかもあるけど、でもすごいって感覚は何かに対して1回しか体験できないように思うんです。例えば、絶景を見て「すげー!」って興奮するのは最初の1回で、次に見る時には「この景色きれいだよね」になる。でも、楽しいっていう感覚は何回も体験できると思うんです。

私はよく「中島さんいつも楽しそうですね」って言われるんですよ。それで「だって楽しいですもん」って答えます。そりゃ、仕事してたら、楽しくない時もありますよ。楽しくないことも当然あるけど、それを抜けて楽しくするっていう風にマインドチェンジしています。この厳しい状況を切り抜けたら、次はあれを楽しくしようって考えること。まだ途上は楽しくないところだけど、楽しみはここからだよね、と考えると、いくつもポートフォリオを持ってて忙しくても気にならないですね。あと、私は毎日、自分に「今日も1日、良い日だったか?」と問いかけて、必ず「そうだ」と答えるようにしています。そうすることで良い日にしていこうと思うんですよ。

次の目標は、人材育成

――今後、新しく作りたいもの、やってみたいことはありますか?

行政の中で、私みたいに動く人をもっとつくりたいですね。本当は私の他にも行政の人で動ける人や頼れる人がいるけど、知られてないんです。何かをやりたいって声を挙げたときに、いろんな人がアイデアを持ち寄って課題解決するような産学官民が連携できる仕組みを行政の中に作りたいですね。ただ、私みたいな位置って、単なる仕組みづくりだけじゃなくて熱量とかその人の資質によるところも多いと思うので、そういうのにはまる人を探す旅とかもしたいですね。こいつだ、ついに見つけた!みたいな(笑)。

今、自分が所属している福岡市は、面白い政策がをどんどん生まれるし、東京から見ても元気でいい街だと思います。ここを面白い組織にするために、私がいつまでもずっと同じ立ち位置にいるのではなくて、新しい人を育てたいですね。こういうことは前までは全く考えなかったです。以前は自分さえ面白おかしく生きていければよかったんですけど、最近は次の人を育てたいと思いますね。

――後任にするなら、どのような人がいいですか?

プロデューサー的な人がいいですね。総合的にプロジェクトを組み立てて、その先にどう持っていくのか大きな戦略を考えて、あと細部に渡ってチームビルドできる人が絶対に必要です。福岡は支店支社経済なので、技術はすごいし、作り手はすごいけど、自分でプロダクトを市場にローンチして、戦略的に展開して、その先どうするみたいなことを考えて動ける企業は、東京に比べて少ないです。そういうプロデューサー的な人をつくっていきたいですね。

――中島さんの後に続いていく若手社会人や学生に向けて、一言お願いします。

今の学生さんは、大学のうちから自分磨きがすごいですよね。新入社員でバリバリやっている人も一生懸命、自分を高めようとしてますよね。私の学生の頃なんて、どうやったら面白おかしく生きていけるんだろう、みたいなことしか考えてなかったのに(笑)。

私が生きる上で一番大切にしてるポイントは「楽しむこと」なんです。「それ、やってて楽しい?」っていう自分への問いみたいなのは、いつもしています。そりゃ、仕事をするって楽しいことばかりじゃないんですよね、当然。でも、面白くないものも面白く、楽しくするための工夫はした方がいいと思います。私なんて大学でインターネットを見て、おお!って驚いて、すごく楽しくて、6年間やってた化学から一気に方向転換したんですよ。この行き当たりばったり感。でもインターネットが本当に楽しかったんですよね。行政に来た時も、最初は雰囲気が固かったけれど、自分が楽しもうと思ってマインドチェンジをしました。楽しかったら仕事の大変さも苦にならなくなるんですよ。あと、自分が楽しそうにしてたら、一緒に仕事する人もそれを見てるうちに楽しくなるし、そしたら仲間もできてくるんですよね。仕事の仲間を作るときに、すごく論理的に、パワーポイントの資料を見せて、「これがこうなっているから、あなた、私と仕事を一緒にやりましょう」って言われても、心が動かないですよね。だから今、これを自分が楽しめてるのかというのはよく見るようにしています。若い人たちにも「今、君はそれを楽しめてる?」と言いたいですね。

「仕事、楽しめてる?」スーパー係長 中島賢一さん(3)楽しくない時こそ、楽しむ

(おわり)

(1)IT出身だから見えた行政のおもしろさ
(2)5つの顔を持つ理由

 
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