災害時に避難所となる学校施設 防災機能の拡充進む

文部科学省は、災害時に避難所として使われる全国の公立学校施設が持つ防災機能の状況についての調査結果をとりまとめた。熊本地震での被害を踏まえ、同省では避難所の安全性と防災機能の確保を進めているが、今回の調査では備蓄や電力、通信などの備えがある学校が2015年調査時よりそれぞれ10ポイント増加していることが明らかになった。

4月1日時点で全国の小中学校、高校、特別支援校の施設で避難所に指定されているのは合計3万994校。このうち学校施設利用計画を策定しているのは39.7%だった。また、防災担当部局との連携・協力体制が構築できているのは95.2%、地域防災計画で役割の明確化までできている学校は79.2%だった。

各防災機能をもつ学校の割合は、備蓄72.0%(2015年調査時63.7%)、電力53.4%(同43.9%)、通信77.2%(同61.3%)と、熊本地震以前の2015年調査時からいずれも10ポイント程度拡充が進んでいた。また、今回新たに調査された項目では、飲料水は66.4%、断水時のトイレへの備えは49.5%だった。

2016年4月に発生した熊本地震では、避難所として使われた学校施設の一部で非構造部材の落下などがあり、倒壊はなかったものの避難所としての安全性や防災機能に課題が見つかった。これを受け、文科省では有識者で検討し、同年7月に提言を取りまとめていた。提言では、施設の耐震化を従来通り進め、老朽化対策を進めることのほか、避難所機能の確保として、各自治体で協力体制の整備や、トイレ、非常用電源、備蓄倉庫などの整備、施設のバリアフリー化などを推進方策として盛り込んでいた。

 
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