雷が大気中で起こす原子核反応を観測 京大など

雷が大気中で起こす原子核反応を観測 京大など

京都大学、東京大学、北海道大学などの共同研究グループは、雷が大気中で原子核反応を起こすことを突き止めたと発表。23日付の英科学誌『ネイチャー』に掲載された。

雷には今もなお、未解明な問題が多く残されている。近年の研究では、雷や雷雲が、電子を光の速さに近い速度まで加速する「天然の加速器」として働く可能性が指摘されていた。加速された電子は大気分子に衝突して高エネルギーのガンマ線を放出することが知られており、近年ではそのガンマ線を地上でも人工衛星でも観測することができる。

研究グループは、雷が多く発生することで知られる冬の北陸の日本海沿岸で雷を観測。2月6日に新潟県柏崎市で発生した雷から、強烈なガンマ線のバースト放射を検出した。この検出から35秒ほど後に、雷からのガンマ線によって「光核反応」が起こった結果、二次的に生じたガンマ線の検出に成功した。このガンマ線は、雷から発生したガンマ線が大気中の窒素にぶつかって核反応を起こした結果生じた「陽電子(電子の反物質)」が電子とぶつかって消滅することで、二次的に発生したものだという。今後、雷の研究分野に原子核に関する視点が加わり、陽電子や中性子による観測手法の開拓が期待されるとしている。

画像提供:京都大学