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異星人の宇宙船?今のところ「オウムアムア」から意味ある電波信号は検出されず

異星人の宇宙船?「オウムアムア」 意味ある電波信号は現在なし

宇宙に知的生命の兆候を見つける科学プロジェクト「ブレークスルー・リッスン」は13日、今年10月にハワイ大学のチームが発見した初の恒星間天体「オウムアムア」からは、意味ある電波信号は観測されなかったと発表した。モニタリングと分析は継続するという。

オウムアムアは、細長い葉巻状で、長さは数百メートルあるにもかかわらず、幅と高さはおそらく長さの10分の1ほどしかないという非常に珍しい形状。以前から研究者たちは、恒星間宇宙船が建造されるとしたら、ガスや塵による摩擦や損傷を最小限に抑えるため、その形状は葉巻または針のようであろうと想定してきた。オウムアムアは自然物の可能性が高いものの、ブレークスルー・リッスンは異星人が建造した宇宙船であるならば意味のある電波信号を発しているのではないかと考えた。

世界最大の可動式電波望遠鏡である米ウエストバージニア州のロバート・バード・グリーンバンク望遠鏡を用いて、13日の午後3時45分から午後9時45分まで、4つのブロックの最初の分が観測された。1~12GHzの範囲で数十億のチャネルにまたがる4つの無線帯域(Lバンド、Sバンド、Xバンド、Cバンド)でオウムアムアから発せられた電波を調べ、90TBの生データを蓄積した。その中から意味のある電波信号の探索が始まったが、グリーンバンクのブレークスルー・リッスンが持つコンピューティング・クラスターの優れた計算能力にもかかわらず、完了までにある程度の時間がかかっている。

カリフォニア大学バークレー校のSETI(地球外知的生命体探査)リサーチセンターのディレクターであるアンドリュー・シエミオン氏は、「この斬新で興味深い情報源からのデータを見ることは素晴らしいことです。私たちのチームは、追加の観測と分析がどのようなことを明らかにするか興奮しています」と述べた。

今のところオウムアムアから発せられた信号は検出されていないが、分析はまだ完了していない。これまでに、Sバンド受信機(1.7~2.6GHzの周波数をカバーする)のデータが処理され、残りの3つの無線帯域の分析が進行中だ。このデータは一般公開されるが、特殊なフォーマットで保存されているため、専門家でないと分析は難しい可能性がある。ブレークスルー・リッスンが提供する解説資料を調べ、今回のオウムアムアだけでなく、ブレークスルー・リッスンが得たデータセット全体の分析支援に関心のある人は招待するという。本当に関心のある方は連絡してみるのもよいだろう。

画像提供:European Southern Observatory/M. Kornmesser