イプシロン3号機打ち上げ成功 幻想的な夜光雲も発生

イプシロン3号機打ち上げ成功 幻想的な夜光雲も発生

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は18日、新たなイプシロンロケットの打ち上げに成功した。これは、NEC製の高性能小型レーダ衛星(ASNARO-2)を搭載したイプシロンロケット3号機で、18日の午前6時過ぎ、鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられた。ロケットは計画どおり飛行し、打ち上げから約52分35秒後に予定の軌道でASNARO-2を正常に分離した。イプシロンロケットの打ち上げ成功は2013年9月、16年12月に続き3機連続となった。

イプシロンロケットは機体の一部に先代のM-Vロケットの技術を引き継ぎながら、H-IIAロケットで使われている部品や技術も活用している。機体の開発だけではなく、点検や組立てなどの運用も効率化し、「世界一コンパクトな打ち上げ」を目指して、運用・設備・機体の3点セットからなる打ち上げシステム全体の改革に取り組んでいる。例えば、M-Vでは打ち上げ前の地上での点検作業に多くの装置が必要で、多くの部品を発射場でひとつひとつ手作業で組み立てる必要があったが、イプシロンでは装置を減らして自動点検できるようになった。また打ち上げ時、M-Vでは約80人の技術者が管制室につめている必要があったが、イプシロンではわずか8人で済む。さらに、これまでロケットの管制には特注の大きな計算機が必要だったが、イプシロンでは移動可能なほど計算機を小型化し、管制室のモニターにパソコンを用いるなど、コンパクトなシステムとなっている。

3号機に搭載された新たな機能として、「低衝撃型衛星分離機構」と「液体推進システム(PBS)」が挙げられる。ロケットから人工衛星を分離する際、従来は固定しているバンドのボルトを爆破して瞬断する方法が取られていたが、新機構では爆薬を使わず機械的にバンドの結合を外すことで衛星が放出される際の衝撃を小さく抑えられる。また、3号機は第三段モータの上に小型のPBSを搭載している。固体ロケットでは難しい精度の高い軌道投入も、このPBSによって細やかな制御が可能となっている。

ASNARO(Advanced Satellite with New System Architecture for Observation)は、経済産業省支援下、NECが主体的に取り組んでいる高性能小型衛星システムの研究開発プログラム。日本の宇宙産業の競争力強化に向けて、小型、低コスト、短納期、高性能の地球観測衛星(ASNARO-1およびASNARO-2)の開発推進を目指している

今回の3号機の打ち上げでは、幻想的なロケット雲が「夜光雲やこううん」として観測された。通常の雲は地上から高度13kmまでに発生するが、夜光雲は、地上70~80kmと非常に高い高度で発生する。日中に発生しても、周囲が明るいため観測が難しいが、今回は早朝であったために各地で観測されたようだ。

イプシロン3号機打ち上げ成功 幻想的な夜光雲も発生

画像提供:JAXA

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