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独ボッシュ社がNOx問題を解決する新しいディーゼル技術を発表

逆風のディーゼル車に朗報? ボッシュ社が新技術でNOx問題をクリア

自動車部品大手の独ボッシュ社は4月25日、年次プレスカンファレンスで新開発のディーゼル技術を発表した。この技術により、ディーゼル車の窒素酸化物(NOx)排出量を劇的に削減し、排ガス規制値をもクリアすることができるという。ディーゼル車人気がいまだ根強いドイツにおいて同新技術は、2015年の独フォルクスワーゲン社による排ガス不正事件以来、逆風にさらされているディーゼル車の開発に一石を投じる可能性が高まっている。

同社の新技術を採用したディーゼル車からのNOx排出量は、RDE(実路走行排気)試験において現在の規制値のみならず、2020年から義務化が予定されている規制値と比べても低い数値を測定。また、同新技術の導入による車両のコスト引き上げも発生しないとしている。

2017年以来導入されている、新モデルの乗用車に対するEU規定では、市街地、郊外およびフリーウェイを合わせたドライビング・サイクル(走行パターンの組み合わせ)において、走行距離1kmあたり168 mg以上のNOxを排出してはならないと定められており、2020年にはこの規制値が120mgまで引き下げられる予定。これに対し、新技術を用いたディーゼル車両は、上述のRDEドライビング・サイクルにおいて13mgという低いNOx排出量を実現可能で、これは2020年以降に適用されることになる規制値のおよそ10分の1に当たる。

この新技術は先進的な燃料噴射技術と新開発のエアー・マネージメントシステム、そして高性能な温度管理の組み合わせにより実現したもの。これにより、冬の厳寒時や夏の炎暑時といった外的条件や、フリーウェイ上もしくは混雑した都市部での走行状況などにも左右されることなく、車両が急発進あるいは低速状態にある場合においても、NOx排出量は規制値を下回るという。

ボッシュ社は、「ディーゼルエンジンにはまだ開発の余地が残されている」としており、次の開発課題としてAI技術を取り入れることを目標に掲げている。

画像提供:ボッシュ社