ゲノム編集ツールを開発し、もちもちしたジャガイモの作出に成功

「もちもち」新食感ジャガイモの作出に成功 東京理科大

東京理科大学が強力なゲノム編集ツールを開発、ジャガイモの遺伝子を効率的にゲノム編集する技術を確立した。これにより、従来の突然変異による育種が困難とされてきた低アミロースデンプンを有する、いわゆる「もちもちした食感」のジャガイモの作出に成功した。この研究成果は13日付けのサイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports) 誌に掲載された。

ジャガイモは世界中でおよそ3億トンが生産され、食用として多様な加工食品にも利用されている。東京理科大学基礎工学部生物工学科の島田浩章教授は、従来の突然変異育種法による育種が困難とされてきた、ジャガイモの4倍体ゲノムのすべてに変異を起こさせる強力なゲノム編集ツールを開発、ジャガイモのゲノム編集を行った。その結果、生じたジャガイモ形質転換体のうち、3割で4つの遺伝子のすべてに変異が生じていた。

これらの変異体ジャガイモは正常に育ち、得られた塊茎についてアミロース含量を調べたところ、いずれの変異体も低アミロースの形質を有していることが判明。ジャガイモのゲノム編集に成功した。

今回作出された低アミロースデンプンのジャガイモは接着材として優れた形質を有しており、工業用途も多い。また、アミロースが少ないデンプンは粘り気が強く、もっちりとした食感になるという。このような低アミロースデンプンの品種は今まで食用として確立されておらず、新たな「もちもち」食感を有するジャガイモとしての利用やジャガイモ以外の作物への展開も期待される。

(写真はイメージ)