小4は数字を擬人化して理解する? 農工大が明らかに

小4は数字を擬人化して理解する? 農工大が明らかに

東京農工大学の松田英子研究員(現東京大学助教)らの研究グループは、数字の擬人化に関して調査を実施し、小学4年生では数字を擬人化する傾向が強く見られるが、年齢とともに消失していくことを明らかにした。研究成果は、スイスの学術誌『フロンティアズ・イン・サイコロジー』に15日付で掲載された。
 

子どもは数字を擬人化する

子どもは、無生物のものを擬人化し、想像上の友だちを作ることが知られている。たとえばぬいぐるみを擬人化して捉えるといった、無生物の擬人化は子どもの頃に頻繁に見られ、社会性、人間関係のシミュレーションに役立っているとも言われている。これまでの研究では子どもの擬人化傾向は具体的な事物に関するものであり、数字などの抽象的と言える事物に対しても擬人化が起こりうるかは研究されてこなかった。

そこで、子どもは抽象的な事物に対しても擬人化を行い、それが具象物に対する擬人化傾向と同様、大人になるにつれて消失するかを検証した。具体的には、小学4年生、6年生、大人に対し、0から9の各数字について、直感的に感じる性別、善悪、年齢、社会性の高さという4つの擬人的表現に関する質問を3択で回答してもらった。たとえば性別に関する選択肢は「男性」「女性」「特にない」、善悪の場合は「良い」「悪い」「特にない」の3つとし、どの質問にも「特にない」という選択肢を入れた。「特にない」を選ぶ割合が高ければ、数字を擬人化する傾向が低いことを直接的に示すことになる。一方、それ以外の2つを選ぶ割合が高いほど擬人化の傾向が強いと言える。このような擬人化傾向の強さ(「特にない」以外を選んだ割合)を調べると、小学4年生は平均80%近くの数字を擬人化していた。6年生では70%強、大人では50%強と、年齢が上がるにつれてその傾向は弱まった。

また、数字に対して決まった擬人的イメージを強く持っていれば、時間が経って抜き打ちで同じ質問をしても同じイメージを答える可能性が高い。あまり強いイメージを持っておらず、そのときの気分でランダムに答えているのであれば、同じく答えることは難しいと言える。そこで、同じ実験参加者に対して、初回の質問の1カ月後にも抜き打ちで同じ質問をし、初回の回答(「特にない」以外を選んだ場合)との一致度、すなわち一貫性を調べた。その結果、4年生では45%が一貫していたが、6年生で40%、大人では35%を下回っており、年齢が上がるにつれて回答の一貫性が低下していることが分かった。
 

数字を理解するための擬人化

さらに、実験参加者が、0から9の数字に対して何種類の「キャラクター」を割り当てているかを調べた。ここでのキャラクターとは、性別、善悪、年齢、社会性の高さの4つの項目における選択肢の組み合わせのパターンを指す(例:「男性」+「良い」+「年を取っている」+「友達がたくさんいる」で1つのキャラクター)。個々の数字に対してすべて異なるキャラクターを割り当てていれば、0から9の10個の数字に対して10種類のキャラクターを答えることが想定できる。実験参加者が割り当てたキャラクターの種類数の平均を分析した結果、小学4年生は平均で8種類近くのキャラクターを回答していた。一方、年齢が高くなるほど似たようなキャラクターを割り当て、数字の擬人化の多様性が失われる傾向があった。

今回は、(1)擬人化傾向の強さ、(2)一貫性、(3)多様性の3つの観点から、発達とともに数字の擬人化傾向が弱まっていくことが分かった。特に4年生と6年生の間に変化が見られたことは、数字の具体的操作期から形式的操作期へ移行する時期であることに関係していると考えられる。具体的操作期における子ども(7歳以降)は、指を使うことや、リンゴやミカンをイメージするなど、具体的なイメージを手助けにして計算している。一方、11~12歳以降の形式的操作期になると、複雑な計算問題が解けるようになることから分かるように、それらの具体的イメージがなくても、抽象的なものごとが理解できるようになる。同研究では、具体的操作期にある小学4年生ほど、数字に異なるキャラクターを割り当てていた。キャラクターを割り当てることによってそれぞれの数字を特徴づけ、具体的にイメージすることが可能となり、理解の助けになっている可能性が高いという。一方、小学校6年生、成人になるにつれて、それらのイメージが不要になり、擬人化傾向が消失するのではないかと考えられる。研究グループは今後、ものごとの抽象的理解と擬人的表現に関する個人差をさらに定量的に明らかにしていくという。

(写真はイメージ)

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