山菜・薬草の利用供給バランス調査 積雪量や森林面積で差

山菜・薬草の利用供給バランス調査 積雪量や森林面積で差

国立環境研究所は22日、気候や社会的な影響によって国産天然物の山菜や薬草の利用供給のバランスが地理的に異なることを、世界で初めて明らかにした。森林が多い県では特に利用が少なく、雪の多い県では多いことが分かった。この成果は10月16日に「Ecological Indicators」に掲載された。

同研究所は、農林水産省の特用林産物生産統計調査をもとに、都道府県ごとに山菜や薬草をどれだけ利用しているかを調査した。また、モデルを用いた対象種の分布面積を使用して山菜や薬草の供給力を解析し、県別の市場流通量と分布面積から各県の予測供給可能量を推定した。さらにインターネットの販売サイトから価格を調査し、金額に換算。市場流通額から予測供給可能額を差し引き、利用供給バランスを指標値(Over-and Under-use Index)として表現した。

解析の結果、秋田県、山形県、青森県など東北から北陸の日本海側の地域は、比較的よく山菜や薬草を利用していることが明らかになった。日本海側の積雪の多い地域で山菜や薬草の利用が多くなる要因としては、融雪によって春先の水分が潤沢になるため、葉や茎などのサイズが大きくなり品質が高まることや、雪国での山菜や薬草を食べる文化的習慣によるものと考えられる。

一方、北海道や岩手県、福島県などの森林面積が広い都道府県では予測供給可能量に比べて山菜や薬草をあまり利用していないことが分かった。森林面積が広いと山菜や薬草までのアクセスが難しくなるということと、里山放棄による荒廃が進み、山菜や薬草の採れる管理された里山が少なくなったために、利用量が少なくなっていると考えられる。県別・品目別に市場流通額と予測供給可能額の差を見てみると、品目によっては利用過剰になっているものと、供給過剰になっているものが地域ごとに特徴があった。

今回の研究成果から、日本での生物資源の過剰利用や未利用資源の開発など、持続可能な生態系管理につながることが期待される。

山菜・薬草の利用供給バランス調査 積雪量や森林面積で差

画像提供:国立環境研究所(冒頭の写真はイメージ)

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