未成年の飲酒、脳の体質に原因?

10代の柔軟性がある(見方を変えれば未熟な)脳はアルコールに対して無防備であり、容易にはまりやすい。アルコールにはまることは、将来依存症になる危険を増加させるだけでなく、うつ病、就業困難、家庭崩壊など、多くの問題を生み出してしまう。
日本では、飲酒問題の当事者・家族・医療側から「コマーシャル(CM)への規制が欧米諸国に比べて甘い」と指摘されており、法的に規制することを求めた長年の運動が実り、2013年12月、アルコール健康障害対策基本法が成立した。今まで、業界の自主規制に頼るしかなかったアルコールのCMについて、法的に規制をかけることで、飲酒による健康障害を軽減することが期待されている。

<CM規制に限界>

 しかし、米ニューハンプシャー州ガイゼル医学大学の研究グループの研究によれば、すでに厳しくCMを規制してきた欧米諸国でも「テレビCMが未成年の飲酒に大きな影響を与えている」という結果が出ており、さらに「業界の自主規制は失敗に終わっている」と指摘している。つまり単純に規制を厳しくしても期待されるような効果がないことが予測される。
実際、数十年前から「夜9時以前は禁止」、「飲酒している姿は禁止」など日本より厳しい規制が、行われてきた欧米諸国でも、未成年のアルコール問題は深刻である。
とはいえ、法律で、テレビCMを全面禁止にすることはできないし、ネットにあふれる膨大な情報、映画、ドラマ、漫画など、様々な作品に出てくる飲酒意欲を刺激するような表現までは規制することはさらに不可能である。

<脳の体質が原因>

脳は、「見たこと」、「聞いたこと」を、そのまま記憶として貯蔵し、その記憶に従って、判断し、行動するようになる。自分が見たいとおりに見て、自分が聞きたいとおりに聞いて、自分の好きなとおりに行なえば、それが「自分の体質」になる。飲酒を促すような映像や文章の刺激を脳に加えてしまうと、脳の体質となって、飲酒することへの心理的抵抗がなくなる。そして、繰り返して飲酒するうちに、気づかないうちに、依存性がついてしまうと、後戻りはできない。日本の飲酒人口が6000万人程度に対して、飲酒に伴う問題が顕在化している人は、600万人程度はいると推定されている。飲酒する人の10人に1人というのは決して少ない割合ではない。

<大人がモデルに>

こういった問題に対しては、外的な規制と同時に、自ら危険を判別し、防ぐことができるような教育が必要である。
すなわち、「脳の基本的仕組み」を理解したうえで、「アルコールや薬物を摂取すると何が起こるか」、「摂取しないで生きるためには、どういう思考・行動が必要か」、「人間はアルコールや薬物を摂取するために生きているのではない」といったことを教え、大人たちがモデルを見せるのである。

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