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世界初のブラックホールの撮影に国際協力プロジェクトが成功

世界初のブラックホールの撮影に、国際協力プロジェクトが成功

国立天文台は10日、地球上の8つの電波望遠鏡を結合させた国際協力プロジェクトであるイベント・ホライズン・テレスコープによって、巨大ブラックホールとその影の存在を初めて画像で直接証明することに成功したと発表した。今回撮影されたのは、おとめ座銀河団の楕円銀河M87の中心に位置する巨大ブラックホールで、地球からの距離は5500万光年、その質量は太陽の65億倍に及ぶ。この成果は米国の天文学専門誌『アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ』特集号に6本の論文として掲載された。

イベント・ホライズン・テレスコープは、世界中の電波望遠鏡をつなぎ合わせて圧倒的な感度と解像度を持つ、地球サイズの仮想的な望遠鏡を作り上げるプロジェクト。今回使用された望遠鏡は、APEX(チリ)、アルマ望遠鏡(チリ)、IRAM30m望遠鏡(スペイン)、ジェームズ・クラーク・マクスウェル望遠鏡(米国ハワイ)、アルフォンソ・セラノ大型ミリ波望遠鏡(メキシコ)、サブミリ波干渉計(米国ハワイ)、サブミリ波望遠鏡(米国アリゾナ)、南極点望遠鏡(南極)の8カ所。各望遠鏡は、非常に精密な原子時計によってデータが正確に同期される。今回の観測は2017年4月に行われ、波長1.3mmの電波が観測された。

 
世界初のブラックホールの撮影に国際協力プロジェクトが成功2017年観測時のEHT望遠鏡配置図

ブラックホールは、光さえも抜け出すことができないほどの莫大な質量を持つ、宇宙でも特異な天体。ブラックホールがあることで、その周辺の時空間がゆがみ、周囲の物質は激しく加熱される。ブラックホールの周辺を通過する光は、ある距離以上近づくと吸い込まれ、それより遠いと進行方向が曲げられて本来は届かない光が地球に届くようになる。こうして中心が真っ暗で周辺がリング状に明るいブラックホールシャドウができるようになる。同プロジェクトでは複数のデータ較正や画像化手法を用いることによって、このブラックホールシャドウを写し出すことに成功した。

世界初のブラックホールの撮影に国際協力プロジェクトが成功ブラックホールシャドウのメカニズム概念図

ブラックホールは、アインシュタインの一般相対性理論によって予言され、1919年に太陽の重力によって星の光が曲がることが皆既日食観測で実証された。今年はそれから100年目の節目の年に当たる。

プロジェクトの代表を務めるシェパード・ドールマン氏(ハーバード・スミソニアン天体物理学センター)は「一世代前ならまったく不可能だったことを成し遂げた。技術的なブレイクスルー、世界中の最高の望遠鏡を複数つなぐこと、革新的なデータ処理アルゴリズムなど、すべてが合わさって初めて、ブラックホールと事象の地平面に対するまったく新しい窓を開くことができた」と述べた。

写真提供:国立天文台

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