TOKYO2020 「和」を表現した競技場が続々完成

TOKYO2020 「和」を表現した競技場が続々完成

2020年に迫る東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、競技場の建設が佳境を迎えている。オリンピック施設には、既存の施設(改修・増設含む)を使用するものと、仮設または恒久施設を新規に建設するものがある。恒久施設として新規に建設されるのは、開会式・閉会式・陸上・サッカー決勝・ラグビーで使用する「国立競技場(オリンピックスタジアム)」、バレーボールで使用する「有明アリーナ」、水泳で使用する「東京アクアティクスセンター」、ボート・カヌーで使用する「海の森水上競技場」、「大井ふ頭中央海浜公園ホッケー競技場」、「夢の島公園アーチェリー場」、葛西臨海公園の「カヌー・スラロームセンター」、バドミントン・近代五種で使用する「武蔵野の森総合スポーツプラザ」の8施設となっている。

11月30日に完成した「国立競技場」は、建築家隈研吾によるデザイン。1964年の東京オリンピックのコンクリートと鉄のイメージとは対照的に、新たな豊かさとして、人間的で温かく触ってみたくなるような「和」の建築を、木で表現した。客席の上にかけられた軒庇のきひさしは、深い陰影を作り、日本の伝統的な「縁側空間」のような涼しい快適な空間となっている。また、縦格子の「繰り返し」のデザインや、梁と柱と開口で構成された構造が、日本らしい外観を表現している。国産木材も積極的に利用しており、神宮外苑と周囲の緑に溶け込むような建築を目指している。

TOKYO2020 「和」を表現した競技場が続々完成

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12月9日完成予定の「有明アリーナ」は、エントランスや通路、アリーナ内装に、14都道府県から集めた国産材を使用。屋根は木材と鉄骨のハイブリッド構造となっている。

TOKYO2020 「和」を表現した競技場が続々完成
 

また、10月末に仮設で建設された体操・ボッチャで使用する「有明体操競技場」は、かつて木材集積の貯木場であった場所の特性を鑑みて、「湾岸エリアに浮かぶ木の器」というコンセプトで設計された、日本らしい簡素でシンプルな構成となっている。屋根、天井、観客席に木を使用し、木材の使用量は本大会施設で最も多い。屋根は、世界最大級となる全長約90メートルの木造アーチ構造、天井は、国産のスギやカラマツで格子状に組まれた木架構となっている。観客席は国産の杉材が使用されており、大会後は学校の下駄箱等に転用することも検討されている。

TOKYO2020 「和」を表現した競技場が続々完成

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TOKYO2020 「和」を表現した競技場が続々完成

各競技場の建設が進み、いよいよ2020年を迎える。オリパラ本番のみならず、その後も使われ続ける「レガシー」にも期待が寄せられる。

画像提供:日本スポーツ振興センター、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会