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SNS時代のステマ問題、境界線はどこに? 【ニュースのコトバ解説】

先日、映画「アナと雪の女王2」で話題になったステマの問題。SNS時代、私たちの身近に潜んでいるステマとは何か、何が問題なのか、事例を元に考えてみます。
 

ステマとは?

「ステマ」とはステルスマーケティングの略で、消費者に対して広告だということを隠して行う広告・マーケティング活動を指します。広告の主体が明らかにされない、いわゆる「やらせ」や「サクラ」といったものです。業者が一般消費者になりすまして口コミや評価を書くタイプと、芸能人や専門家などインフルエンサーに報酬を渡して宣伝を依頼するタイプがあります。
 

最近のステマ事例

・京都国際映画祭
昨年京都市が国際映画祭のPRとして、吉本興業の兄弟お笑いコンビ「ミキ」にSNS投稿を依頼したというもの。兄の昴生さんが、ハッシュタグ「#京都市盛り上げ隊」「#京都国際映画祭2018」「#京都市ふるさと納税」を付けて、「大好きな京都の町並み!!京都を愛する人なら誰でも、京都市を応援できるんやって!詳しくはここから!」と、京都市のふるさと納税のページのURLを入れてツイート。同日には弟の亜生さんも同様のツイートしていました。

・アナと雪の女王2
ディズニーが映画「アナと雪の女王2」のPRとして、複数の漫画家にSNS投稿を依頼したもの。いずれもハッシュタグ「#アナ雪2と未知の旅へ」「#アナと雪の女王2」を付けており、映画の魅力を紹介する意図のものでした。
 

ステマの問題は何か? 違法なのか?

上記の2つの事例に共通した問題点は、投稿したSNSのメッセージ内にPR表記が無かった点です。金銭や利益供与によってPR投稿をする場合には、それが宣伝行為であることを示す表記が必要です。ミキとアナ雪2の投稿にはPR表記がないため、読み手はそれがあたかも個人のプライベートなコメントのように受け取れてしまいます。こうしたステマは消費者に誤った印象を与えてしまい、商品に対して正しい判断をできなくさせるため、行き過ぎた表現で実際より著しく良く見せて内容を偽り、優良誤認させたとして、景品表示法に違反する違法行為にもなり得ます。
 

ステマが行われる背景は

なぜステマは行われるのでしょうか? それは広告主や広告代理店の立場としては、PRと表記して情報を発信することで、消費者が広告に対して嫌悪感を抱くことを避けたいからでしょう。また、商材に合ったインフルエンサーを起用することで、適切なターゲットに自然な形で情報を届けることができるためです。

現在、ステマはアメリカやイギリスでは法規制がされていますが、日本では広告業界団体のWOMJガイドライン等で自主規制をしている状態で、法規制にはまだ至っていません。ただ、ステマが発覚するとその依頼主への信頼は失われ、ネットで炎上してしまうなど、その代償は大きいです。またステマではないのに、「ステマなのではないか?」と余計な疑いを生む可能性もあります。
 

ステマ被害が起きないように

ステマに対しては、WOMマーケティング協議会(The Word of Mouth Japan Marketing Association)によるWOMJガイドラインが設けられています。これによれば、宣伝投稿を行う情報発信者に対し、マーケティングを目的とした金銭・物品・サービスなどの提供が行われる場合、依頼主との間には「関係性がある」とされています。そこで依頼主はその関係性が情報の受け取り手に分かるように、情報発信者に下記を明示させる必要があります。
(1)主体の明示:マーケティング主体の名称(企業名・ブランド名など)の明示
(2)便益の明示:金銭・物品・サービスなどの提供があることの明示(#Promotion、#Sponsored、#PR、#提供など)
 

SNSを使った広告が主流となっている今、インフルエンサーを起用した広告・マーケティングが広まる一方で、これからもステマは後を絶たないでしょう。法整備と同時に、情報の受け取り手側も不用意に情報に踊らされることのないよう、自ら判断できるように備えておく必要があります。

(写真はイメージ)