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うるう年の意味 なぜ2月29日が必要なのか? 【ニュースのコトバ解説】

うるう年の意味 なぜ2月29日が必要なのか? 【ニュースのコトバ解説】

ほぼ4年に1回やってくる「うるう年」。「うるう」とは漢字では「閏」と書き、「余り」を意味する。2020年の今年はうるう年なので1年が通常よりも1日多い366日あり、2月29日が存在する。なぜこの日が必要なのか、そしてうるう年がどのように決められてきたのかをたどってみたい。
 

ずれを補正する閏年の法則

現在のうるう年は、ローマ教皇グレゴリウス13世によって1582年に制定されたグレゴリオ暦に基づくもの。グレゴリオ暦は太陽暦なので、地球が太陽を一周するのにかかる時間を1年(太陽年)としている。しかし実際に一周する時間は約365.2422日なので、1年を単純に365日とすると4年で約1日(0.9688日)ずれが生じることになる。このずれを補正するために4年に1回、2月29日のうるう日が設けられている。

うるう年は、西暦の年数が4の数字で割り切れる年と決められている。近年では2020年、2016年、2012年がうるう年だった。このため、うるう年はオリンピックイヤーと重なっていると覚えている人も多いが、実は必ずしもそうではない。

その理由は、うるう年に設けられているひとつの例外にある。本来うるう日として補正されるべき時間のずれが0.9688日と1日にわずかに足りないため、その分が積み重なるとまたずれが生じてしまう。そこで例外を設け、400年に3回は4で割り切れる年でもうるう年ではない平年とするようになっている。これにより400年間にうるう年は97回あり、これを集計すると1年が平均365+97/400=365.2425と、実際の太陽年にかなり近い数値となる。

つまり、うるう年がどのように決められているのかというと、

  • 西暦年数が4で割り切れる年
  • ただし例外として、西暦年数が100で割り切れて400で割り切れない場合には平年とする

となる。例えば、2020年は4で割り切れるからうるう年だが、2100年は100で割り切れるが400で割り切れないので平年となる。シドニーオリンピックが開催された2000年は、100でも400でも割り切れるからうるう年だった。
 

春分の日と連動するイースターの日

そもそもなぜ、ローマ教皇が暦を制定したのかということにさかのぼると、キリスト教の大事な祝祭日である「イースター」、イエス・キリストの復活を祝う日を、正しく決めることができなくなったためだと言われている。新約聖書において、イエス・キリストが十字架に掛けられたのはユダヤ教の「過越すぎこしの祭り」の準備の日と書かれている。そしてそれから3日目に「キリストが復活した」とされている。ユダヤ教の過越の祭りは太陰太陽暦に基づいて計算される。これは旧約聖書の出エジプト記の故事に由来するもので、エジプトの奴隷であったイスラエルの民がモーセに率いられて脱出する際に神がエジプトに対して10の災いを下すが、10番目の災いが、戸口に印のある家を「過越し」て行き、印がない家にだけ災いが臨んだというものだ。

グレゴリオ暦が制定される前は、紀元前45年にユリウス・カエサルによって制定された太陽暦であるユリウス暦が使われていた。これは、4で割り切れる年をうるう年とする点はグレゴリオ暦と同じだったが、例外が設けられていなかった。このため、当初ユリウス暦で3月21日を春分の日とし、月の朔望さくぼうを考慮して春分直後の満月の日をキリストの復活日と決めていたのだが、16世紀にグレゴリオ暦に改暦された時点で、天文学上の春分の日から暦の上での春分の日が10日ほどずれてしまっていたという。

現在のグレゴリオ暦でも3000年近く経つと、ずれが蓄積して1日分の誤差が生じることになる。それでも、ユリウス暦が約128年で1日分の誤差を生じさせていたのに比べれば、だいぶ精度がよくなったと言えるだろう。

(写真はイメージ)