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食物アレルギー治療法の確立へ一歩前進 経口免疫療法のメカニズムが明らかに

食物アレルギー治療法の確立へ一歩前進 経口免疫療法のメカニズムが明らかに

千葉大学と東京大学の研究グループは10日、食物アレルギーの治療法として用いられる経口免疫療法の治療メカニズムの一端を明らかにしたと発表した。アレルギーの発症の原因となるマスト細胞が、 治療が成功している場合にはアレルギーを抑える働きをする細胞へと性質が切り替わっていることが明らかになった。10日付で米国学術誌Mucosal Immunology誌に掲載された。

食物アレルギーは国内で約120万人の患者がいるとされており、かゆみやじんましん、おう吐、下痢の他、最悪の場合ショックを起こして死に至るケースもある疾患。白血球の一種であるマスト細胞がアレルギーを引き起こす抗体(アレルゲン)に反応してアレルギー物質を放出することで発症するとされている。

経口免疫療法は、アレルゲンとなる原因食物を連日食べることで、アレルギーへの耐性を獲得する治療法として知られている。しかし、どのようにしてアレルギーが治るのかのメカニズムについては、マスト細胞によるアレルゲンへの反応が起こらなくなるということはわかっているものの、詳しいメカニズムは明らかになっておらず、治療中の副反応や成功率の低さも課題となっている。

研究グループは食物アレルギーのモデルマウスの実験で、経口免疫治療法によってアレルギーの症状が軽減されたマウスでは、マスト細胞がアレルゲンに対して反応しないだけでなく、アレルギーを抑制する制御性T細胞を増やすタンパク(IL-2)やアレルギー症状を抑えるタンパク(IL-10)を産生していることを発見。また、マスト細胞自体の性質が、アレルギーを起こす悪玉細胞からアレルギー反応を抑える善玉細胞へと変化していることも発見した。さらに、試験管内で経口免疫療法を模倣し、アレルギーの抑制物質を放出するように変化した善玉マスト細胞の作製に成功した。

この結果より研究グループは、経口免疫療法によるアレルギー治療の成功には、マスト細胞が善玉細胞へ転換するメカニズムが重要だと結論づけた。今後、悪玉細胞から善玉細胞への切り替えが効率的に行われるメカニズムの解明や、それを応用した切り替え促進薬の開発が期待される。

(写真はイメージ)