鉄道業界で進む自動運転化 JRや東武鉄道で実証実験を推進

鉄道業界で進む自動運転化 JRや東武鉄道で実証実験を推進

地域の移動の足を支える公共交通である鉄道。少子高齢化や沿線人口および労働人口の減少が進む中でも、安全かつ利便性の高い輸送サービスを維持継続するため、鉄道各社では自動運転技術の導入を積極的に進めている。

鉄道の自動運転のレベルは、国際電気標準会議(IEC)により定義されており、GoAGrade of Automation)という規格でレベル04に分けられる。GoA0は全ての操作を運転士が担い、自動運転システムは一切搭載されていない状態。

GoA1は速度超過時の自動減速や事故発生時の自動停止といった運転支援機能を搭載している段階で、普段目にする電車の多くがこのレベル。GoA2は半自動運転で、運行に関することはシステムが自動で行い、運転士はドアの開閉と発進のみ操作する。運転士が車掌業務も兼務するワンマン運転であり、踏切がない地下鉄がこのレベルで運行されている。

GoA3の添乗員付き自動運転で、車両の発進・停止や加減速などの全ての運転操作をシステムが自動で行ない、運転士でない添乗員は避難誘導などを担当する。

そして、GoA4は完全無人でシステムが運転する自動運転となる。

JRや私鉄、各地で進む自動運転化

鉄道での自動運転は、JR北九州が20201224日より、香椎線の西戸崎駅~香椎駅間で運転士が乗務した状態の営業列車での実証運転を行なっている。

JR東日本では、2021313日から常磐線各駅停車の綾瀬駅~取手駅間で同社として初めて、自動列車運行装置(ATO)を導入した。なお、相互直通運行を行なっている東京メトロ千代田線はすでにGoA2レベルの自動運転を行っている。

また東武鉄道は420日、東武大師線において自動運転の実施に向けての検証を2023年度以降に開始すると発表した。東武鉄道が目指すのはGoA3の自動運転レベルだという。

実証実験の実施区間は東武大師線の西新井~大師前間の約1km2023年度以降に夜間の試運転を中心に検証運転に取り組み、その結果を踏まえて、大手私鉄で初の自動運転GoA3の実現を目指すという。

ATO導入により、鉄道各社はさらなる安全・安定した鉄道輸送の実現と業務効率化を目指していく。

画像提供:東武鉄道(冒頭の写真はイメージ)

 

自動運転用語を統一 一般への認知度向上目指す