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絶滅危惧種のシマフクロウ、過去最多数のヒナを調査

環境省は7日、絶滅危惧種で国の天然記念物であるシマフクロウの今年度の調査によって、新たに37羽のヒナに標識を装着したと発表した。これは昨年度の29羽、一昨年度の36羽より多い過去最多。同省は繁殖環境が少しずつ整ってきたと見ている。

調査は国のシマフクロウ保護増殖事業の一環で、毎年春にヒナに標識を装着する調査を行い、個体識別、性別・来歴などの個体状況の収集、繁殖状況の把握などを行っている。今年度の調査期間は5月17日から7月2日まで。道内の各地域に設置している巣箱を中心に調査し、28巣において計37羽のヒナに標識を装着した。巣の数、ヒナの数ともに過去最多で、現在確認されているシマフクロウの数は72つがい165羽となる。

標識調査は1985年に開始し、今回で合計658羽に標識を装着した。それ以降に傷病などによって保護収容した野生個体の約7割が標識付きとなっており、この調査によって個体の移動分散状況や年齢の把握などについての重要なデータが得られている。

シマフクロウは、翼を広げると約180cmになる世界最大級のフクロウ。環境省のレッドリストで絶滅危惧IA類に指定されており、日本では北海道と北方領土に生息する。森林伐採による営巣木の減少と河川改修や砂防ダム建設による餌の魚類の減少などにより、数が減った。

シマフクロウは警戒心の強い鳥で、特に繁殖中の巣に近づくと巣を放棄してしまう恐れもある。同省では巣箱や営巣を確認した場合でも不用意に近づかないように呼び掛けている。

円山動物園で絶滅危惧種シマフクロウの繁殖成功