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芝浦工大、高性能ウェアブル体温発電素子を開発

芝浦工業大学は19日、体温と外気温のわずかな温度差で安定して発電できる高性能ウェアブル体温発電素子の低コスト製造法を開発したと発表した。開発したのは芝浦工大工学部材料工学科の苗蕾教授。

ある物質の両端に温度差を与えると、その両端間に電位差が生じる現象をゼーベック効果という。これはすべての物質で生じるが、物質によって起電力の大きさが異なる。この効果を利用して人体熱で発電することができる発電機の開発が期待されてきたが、従来型の熱電変換モジュールは重くて柔軟性に欠け、発電性能も低いなどの課題があった。

この研究では、断熱性のメラミンスポンジを充填した斬新なモジュール構造を考案。適切な熱制御により体温と外気温との温度差の維持を可能にし、安定した出力を持つ柔軟かつ軽量・通気性のある低コスト熱発電素子の製造に成功した。

モジュール構造は計算機シミューレションを用いて設計。超低熱伝導率のメラニンスポンジを封止剤として用いることで、冷却用ヒートシンクを使わず、優れた曲げ耐久性、軽量性、通気性、低コスト性を実現した新しいモジュール構造を実現した。

実証実験では5℃というわずかな温度差で静止時7μW/㎠、歩行時(風速1m/s29μW/㎠を発電することを確認した。また、従来品より柔軟性もあり、曲げ張力は1/5程度だった。面積3.61㎠、厚み5mm、重さ1.75g、曲げ張力0.75g、コスト6.5USドルほどでスマートウォッチを駆動できる熱発電機の製造に成功した。

今後は、半導体や熱電デバイス関連企業と共同し、微小な電源装置として具体的な充電機器への適用を目指して設計・開発を進めていくとのこと。

 

メラミンスポンジの断熱効果で人体表面と熱電発電機の外気と接する面との間に大きな温度差(外気温23.8℃、熱発電機外部温度30.3度、皮膚温度35.5℃)を実現

風速0m/s(静止時)と風速1m/s(通常の歩行速度)における出力電圧と出力密度

装置の柔軟性を示した状態

画像提供:芝浦工大(冒頭の写真はイメージ)