トヨタがBEV新モデル計16車種を公開 2030年までにBEV30車種を展開

トヨタ自動車は14日、バッテリーEV(BEV)戦略に関する説明会を行った。さらに説明会場では、2022年発売予定のスバルと共同開発したSUVタイプBEV「bZ4X」を含めた、新たなBEVモデル計16車種を公開した。

16車種は12月16~20日の期間限定で、東京・お台場にあるクルマのテーマパーク「MEGA WEB(メガウェブ)」に一般公開されている。

14日の説明会に登壇した豊田章男社長は、カーボンニュートラルの実現に向けたトヨタのBEVの戦略について説明した。冒頭、豊田社長は「この地球上に生きるすべての人たちが幸せに暮らし続ける世界を実現すること。そのお役に立つことがトヨタの願いであり、グローバル企業としての使命でもあると考えている」と述べた。そして、「多様化した世界で、何が正解か分からない時代に、できるだけ多くの選択肢を準備したい」と語った。

そして、すべての電動(EV)車は、使うエネルギーによってCO2排出を減らす「カーボンリデュースビークル」と、クリーンなエネルギーを使ってCO2排出をゼロにする「カーボンニュートラルビークル」の2つに分かれるとし、「トヨタはその実現に向け、全力で取り組んでいく」と述べた。

世界中で加速するEV化戦略

世界的な脱炭素の流れを受けて、近年、自動車メーカー各社が電動化転換を加速している。先行する海外メーカーに続き、日本でもホンダが2021年4月23日に2050年のカーボンニュートラルに向けた車両の電動化計画を発表した。ホンダは2040年には世界での新車販売をすべて電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)に切り替え、ハイブリッド車(HV)も含め走行中にCO2を排出する新車の販売を止めるという。

今回のトヨタの説明会でも、2030年のグローバルでの販売目標台数を従来計画の200万台から350万台へと大幅に上方修正した。また、2030年までに30車種のBEVを展開し、同年にはレクサスブランドを欧州・北米・中国において100%BEVのラインアップのブランドにし、2035年にはグローバルにBEV専業ブランドにすることを目指すとした。さらに、製造現場ではエネルギーの使用量を減らす改善と技術開発により、2035年のカーボンニュートラル達成の目標を掲げた。

豊田社長は「カーボンニュートラルのカギを握るのはエネルギー」であり、地域によってエネルギー事情が大きく異なる点を挙げ、「トヨタは各国、各地域のいかなる状況、ニーズにも対応し、カーボンニュートラルの多様な選択肢を提供したい」と語った。

「経営的には、選択と集中をしたほうが効率的だろう。しかし、私は未来を予測することよりも、変化にすぐ対応できることが大切だと考えている。だから正解への道筋がはっきりするまで、選択肢を残し続けたい」と述べた。

会見の最後、「トヨタが目指すのは、人と社会の幸せを量産する会社。自動車産業に携わる多くの仲間と共に、みんなが心を一つにして意思と情熱を持って行動すれば、次の世代に美しい地球とたくさんの笑顔を残すことができると信じているし、必ず実現していく」と締めくくった。

選択肢を残しながら、BEV化も積極的に進めていく。今回の発表はこれまでの「トヨタはBEVに積極的ではない」というイメージを大きく覆し、本気度を世界に示す機会となった。

画像提供:トヨタ自動車