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登校できない心に寄り添う 英国で広がる「EBSA」の考え方

近年、英国では不登校や欠席が急増し、教育現場にとって大きな課題となっています。こうした背景から、単に学校に行かない状態を説明するだけでなく、「感情に基づく学校回避(Emotionally Based School Avoidance/EBSA)」 という新しい理解が注目されています。

日本でも不登校の児童・生徒数は増加が続いており、「学校に行かないことの背景をどう理解し支援につなげるか」という視点が求められています。本記事では、EBSAという言葉をわかりやすく説明し、英国でのEBSAに関する取り組み事例を紹介します。

英国で認知の広がる「EBSA」

EBSA(Emotionally Based School Avoidance)は、「感情に基づく学校回避」という意味の言葉です。これは、不安や恐怖、ストレスといった強い感情が原因で、学校に出席することが難しくなっている状態を指します。従来、日本や英国などで使われてきた「登校拒否」「不登校」といった言葉は、行動として学校に行かない状況を示す名称でした。一方、EBSAは「学校に行きたくても、感情的な負担によって行けない状態」を含めて把握しようとする考え方です。

この言葉は、単なる行動の問題ではなく、子ども本人の内面を理解するための枠組みとして注目されています。

EBSAの状態になると、次のような兆候が見られることがあります。

・朝になると腹痛や頭痛を訴える

・教室に入る直前に緊張が高まる

・学校生活の話題を避ける

・通学時間になると不安が強まる

これは単なる怠けや反抗ではなく、心理的な反応として現れている可能性があります。

EBSAを踏まえた支援のあり方

EBSAの考え方では、学校に行けない状態を単に「欠席」として扱うのではなく、感情面の不安や負担を前提に支援を組み立てることが重視されます。英国では、その実践例として次のような支援が紹介されています。

一つは、段階的な学校復帰(graduated return to school)です。教員との短時間の面談、好きな教科や安心できる場所に限定して参加するなど、負担の少ない関わりから始め、在校時間や参加する活動を段階的に広げていきます。出席できなかった日があっても後退とは捉えず、安心して学校と関われているかどうかを重視する点が特徴です。

もう一つは、ハイブリッド・ラーニングです。これは、対面授業とオンライン学習を組み合わせる学び方で、登校が難しい時期でも学習を継続できる仕組みです。こうした方法は、学校への心理的な負担を軽減しながら、学習とのつながりを保つ手段として位置づけられています。

これらの支援に共通しているのは、「元に戻すこと」を急がず、子どもの状態に応じて学校との関わり方を調整するという考え方です。心は行動のエネルギー源です。子どもの心の状態と向き合い、家庭や学校、行政が連携し、制度を整えながら柔軟に対応する必要性が示されています。

(写真はイメージ)